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緊急の温暖化対策を求める英「絶滅への反逆(Extinction Rebellion: XR)」支援のため、スウェーデンの「温暖化のための登校拒否」のグレタさんが訪英。来週、共同行動へ(RIEF)

2019-04-20 00:09:03

Greta11キャプチャ

 

  英国ロンドンで、効果的な温暖化対策の実施を求めて、今週初めから、主要な交通拠点での座り込み行動を続けた「絶滅への反逆(Extinction Rebellion: XR)」運動。すでに500人以上の逮捕者を出しているが、来週には、スウェーデンで「気候変動対策のための登校拒否」を一人で続けてきたグレタ・トゥーンベリさんが訪英、運動に加わるという。

 

 (写真は、「子どもの反乱」をグローバルに主導するグレタさん)

 

 XRは15日からロンドンのオックスフォードサーカスなどの4拠点を占拠し、交通を妨害する行動を展開している。さらに、行動5日目の19日には、ヒースロー空港近くのラウンドアバウト(円形の交差点)を占拠し、空港に向かう交通遮断を目指した。だが、警備に当たった警官隊に塞がれた。

 

 抗議行動の中心にいるのは1990年代生まれの10代の若者たち。広げられたバナーには「われわれが最後の世代なの?」の文字。気候変動の影響が加速するのに、現在のどの国の政府の政策も、口先だけで、本当に温暖化を防ぐ対策を講じようとしない。われわれには未来はないのか、と声をあげ、行動に出たのだ。http://rief-jp.org/ct7/88987?ctid=70

 

EX12キャプチャ

 

 XRが求める要求は3つ。「Tell the Truth(本当のことを伝えて)」「Carbon net zero by 2025(2025年までにカーボン排出量をネットでゼロに)」「Citizen’s Assembly(市民評議会の設立)」。https://rebellion.earth/event/uk-rebellion-shut-down-london/

 

 既存の政治への不信から、温暖化の進行を迅速に止めるゴールを定め、その実現状況を監視するため、信頼できない既存の政治・政府とは別に、市民自らの協議会を設立しよう、というものだ。単にCO2排出量を抑えるだけでなく、市民の視点に立った民主主義の復活を求める点で、新たな時代を求める若者のエネルギーを示す。

 

 彼らは、昨年夏以来、たった一人で「本気の温暖化対策」を政治家に求めて抗議の「登校拒否ストライキ」を展開してきた、スウェーデンの16歳のグレタ・ツィーンベリさんの主張に感化された面もある。「子どもも、自分の将来に声をあげるべきだ」、「(未来をになう)子どもこそが、自分の将来に責任を負うべきだ」。http://rief-jp.org/ct8/88154?ctid=70

 

EX13キャプチャ

 

 そのグレタさんが、来週、英国を訪問、英議会で各政党の代表議員らと面談する。面談予定者には、「緑の党」の共同代表のキャロライン・ルーカス氏、労働党党首のけれみー・コルビー氏、環境相のマイケル・ゴブ氏ら。もちろん、既存の政治家への「不信感」ではグレタさんとXRの若者たちは共通する。滞英中、グレタさんの最大の目的は、XRの抗議行動に参加することだという。

 

 英紙の報道では、グレタさんは「ロンドン滞在中に、彼らの行動がまだ続いているならば、ぜひ参加したい。XRの活動は、われわれの時代のもっとも重要で希望のある行動の一つだと思う。市民の『不服従』は、気候危機、生態系危機への関心を喚起する上で必要だ」と語っている。

 

 ただ、子供たち、若者たちの、連帯の輪がグローバルに広がりつつある一方で、「大人たち」は戸惑いを隠せない。英国の世論調査では、52%の人々が、ERの主張と行動に反対を表明、賛成・支持を表明したのは36%にとどまっている。

 

EX11キャプチャ

 

 グレタさんは、ローマ法王にも、EUの首脳にも、ワールドエコノミックフォーラム参加の主要リーダーたちとも会った。彼女の「温暖化対策を求める捨て身の主張」に多くの理解を得てきた。しかし、彼らはこうも言った。「登校拒否はせず、学校には行ったほうがいいよ」

 

 温暖化対策をめぐる大人と子どもの断絶。その根底に、民主主義の形骸化、市民の軽視、権力の集中と権限の維持等が見え隠れすることを、子どもたちは、もはや見抜いているようだ。だが、大人たちはそのことに気づいていないのかもしれない。

 

 XRのスポークスマンを務める英イーストアングリア大学の哲学者、ルパート・リード氏は「われわれの民主主義がすでに壊れている点については、誰もが賛同すると思う。われわれが提唱する『市民評議会』のアイデアは、民主主義に取り組み、復活させようという過激な方法でもある」と述べている。

 

EX15キャプチャ

 

 XRの抗議行動は来週も継続される。逮捕されることも辞さず、ロンドンの交通を妨害、抗議の意図を世に知らせる若者たちの「覚悟の訴え」。ニューヨーク、パリ、ハーグなど他の都市でも、賛同するXRの行動が予定されているという。

 

https://rebellion.earth/event/uk-rebellion-shut-down-london/

https://www.theguardian.com/environment/2019/apr/19/extinction-rebellion-stages-youth-protest-at-heathrow-airport

https://www.theguardian.com/environment/2019/apr/19/greta-thunberg-hopes-to-join-climate-protests-during-london-visit-extinction-rebellion