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中国電力系の「大崎クールジェン」、CO2分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)実証事業で、CO2の90%削減と発電効率改善にメド。2022年度以降実証化に道(RIEF)

2019-04-22 18:06:29

CCS1キャプチャ

 

 中国電力とJパワー(電源開発)が共同設立する石炭ガス化火力発電開発企業の大崎クールジェン(広島)は、石炭ガス化燃料電池複合発電設備(IGFC)と、CO2を分離回収する技術を組み合わせた「クリーンジェンプロジェクト」で、2022年度にはCO2回収率90%の条件で、既存の石炭火力発電よりも発電効率の高い商業機の実用化にメドをつける実証事業に着手した。CO2分離回収技術の課題とされてきた発電効率をアップするとともに、コスト面にも対応できるものを目指す。

 

 (写真は、中国電力大崎発電所内にある実証事業の各設備)

 

 実証事業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同事業として、広島県豊田郡大崎上島町にある中国電力の大崎発電所内で続けられている。IGFC技術の基盤となる酸素吹きの石炭ガス化複合発電(IGCC)システムにより、CO2分離・回収技術の課題とされているエネルギーロスを押さえることで、CO2の分離・回収を行いつつ高い発電効率(送電端:HHV)を実現する考えだ。

 

 これまで第一段階として2012年度から、IGFCの実証試験として、石炭をガス化してガスタービンと蒸気タービンの複合発電を行う酸素吹きIGCCシステムの実証試験を行ってきた。その結果、将来の酸素吹きIGCC商用機では、46%程度の発電効率を実現する見通しが得られたという。

 

 現在、「クリーンコール」と呼ばれている超々臨界圧石炭火力発電設備(USC)の発電効率は約40%であり、それを上回り、CO2排出量もUSCより15%削減できるとしている。

 

実証試験のシステム概要
実証試験のシステム概要

 

  第二段階として、酸素吹きIGCC設備に、CO2分離回収設備を追加で設置して、燃焼前の石炭ガス化ガスから、CO2を分離回収する実証試験を、2019年度後半から2020年度にかけて行う予定。その成果を踏まえて、第三段階では、第二段階までに開発したCO2分離回収型酸素吹きIGCC設備に、燃料電池を追加したIGFCの実証試験に移行する。

 
  大崎クールジェンが取り組むCO2分離・回収技術は、CO2を回収・貯留するCCSと似ているが、回収したCO2の貯留はしない。CO2の分離・回収の場合、そのエネルギーロスが課題となるが、酸素吹きIGCCと組み合わせることで、燃焼前回収によって燃焼後回収よりも、対象のガス量が少なくなりことや、酸素吹き方式によってCO2を高濃度処理ができることなどから、エネルギーロスを低く抑えることができる。

 

 CO2分離・回収の過程で発生する水素は、複合発電システムや燃料電池に活用できる。

 

 CCS3キャプチャ

 

 今回の大崎クールジェンプロジェクトは、高いレベルでのCO2吸収力を発揮しながら、発電効率を低下させず、むしろ効率を改善させることに成功できる見通しに加えて、もう一つの課題である分離・回収技術のの経済性についても、同社は、「商用機レベルで、発電原価が、現在、商用機として活用されている石炭火力と同等程度になる見通しを得た」としている。

 

 3段階での実証試験の成果が順調に達成されると、2022年度以降、そう遠くない時期に、CCS付き酸素吹IGCCが経済的にも実用できるレベルに達する可能性があるという。

https://www.osaki-coolgen.jp/release/

https://www.osaki-coolgen.jp/release/

https://www.osaki-coolgen.jp/release/pdf/20190306ocg.pdf