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日本製鋼所、風力発電機製造・販売事業から撤退を表明。日立製作所に次ぐ。国内の「日の丸風力発電会社」ゼロに。「技術の日本」の看板の破綻(RIEF)

2019-04-24 20:50:34

kasatoriキャプチャ

 

 素材関連の大手企業、日本製鋼所は24日、風力発電機の製造・販売事業からの撤退を発表した。同社は2006年に風力発電機の製造を開始、これまでに135基の販売実績を持つが、風車事故等で2016年度に製造を停止していた。今回、将来的にも事業再開の見通しが立たないとして、撤退を決めた。政府は洋上風力発電事業の展開に力を入れる構えだが、すでに日立製作所も徹底を表明、「日の丸風車」はゼロになる。

 

  発表によると、同社は2006年から市場に参入してきた。2010年から13年にかけて、風車の羽根の部分の不具合が相次いで発生。13年4月には、中部電力系のシーテックが運営する三重県の「ウィンドパーク笠取」で、出力2MW級の日本製鋼所製の風力発電機が破損、落下する事故を起こし、経済産業省が同社の発電機を一斉点検する事態となった。

 

 事故の原因は、風車のブレード(羽根)」の傾きを変えるために使うベアリング(軸受け)などの磨耗が原因と判明。設置した風力発電機の部品交換等のため、2014年度には約160億円の特別損失を計上した。その後16年度には製造を中止、既存風力発電機の修理等に事業を縮小していた。

 

 同社によると、「今回、改めて事業継続を検討したが、将来的に収益の確保が困難と判断した」としている。すでに風力発電機を生産していた工場は、他の事業に転用しているという。また既存の風力発電機の保守・補修などのメンテナンス事業は、今後も継続するとしている。

 

 日本の風力発電機製造企業としては、日立製作所が1月に撤退を表明している。http://rief-jp.org/ct4/86526

 三菱重工業はデンマークのヴェスタスと共同出資会社のMHIヴェススタスを運営し、グローバルに風力発電機を展開しているが、拠点は欧州で、デンマークとの共同会社だ。このため、日本製鋼所の撤退で、「日の丸」の風力発電機会社はゼロになる。「技術の日本」は風力発電機技術では、世界の大勢についていけず、落後したことになる。

 

https://www.jsw.co.jp/news/uploads/20190424_001.pdf