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国産初の「らせん式水車」による小水力発電、岩手県で稼動。低落差でもOK、設置・管理も簡単。農業用水路に適す。日本工営が開発(RIEF)

2019-05-08 12:24:36

 

  国産で初めてとなる「らせん式水車」が稼動した。日本工営が岩手県一関市の農業用水路に設立した小水力発電の八幡沢発電所(発電容量19.9kW)だ。3枚の羽根がらせん状に回転することで、低落差でも発電が可能なのほか、設置が簡単、環境への負荷も少ない利点がある。設置後の維持管理が容易なことから、農業用水路等への敷設が適しているとされる。

 

 らせん式小水力発電は、上部から流れ込む水を、らせん水車の羽根に沿って、流下させることで、水の流下(位置)エネルギーを羽根面積とひねり角度で受けて回転力に変える仕組み。構造は、水車上部から水を流す樋、らせん状の羽根を取り付けた軸状の水車本体、軸受けで構成される。

 

竣工式の模様
竣工式の模様

 

 構造が簡単なことから、大規模工事が不要で、維持管理も容易な利点がある。これまでドイツ製の一機が敷設されていたが、日本工営は国産品の開発に着手。2015 年6 月~2016 年6 月にかけて、鹿児島県薩摩川内市の小鷹井堰地点でらせん水車発電(出力30kW)の実証試験を実施した。その後、2016 年7 月~2017 年6 月に商用国産らせん水車製造を目的とした模型実験などを重ねた結果、今回、第一号として八幡沢発電所がオープンしたわけだ。

 

 設置した水車は、直径2.0m、全長9.6m。最大落差は2.51m。水車の設置は地元の株式会社平野組(一関市)が担当、日本工営は、据付、電気工事等を担当した。

 

設置工事も容易
設置工事も容易

 

  同発電所は、地域の農業用水路の維持・管理を担う照井土地改良区が事業主体である農業用水路を活用している。年間発電電力は11万2759kWhを見込み、全量を東北電力に売電する。

 

https://pdf.irpocket.com/C1954/g9xd/ScJL/GlJm.pdf