カナダが「廃プラスチック」と称し、フィリピンに家庭ごみや使い捨ておむつ等をコンテナ100台分輸出。バーゼル協定違反の懸念。フィリピンは駐カナダ大使を召還、抗議(RIEF)
2019-05-18 00:29:39
6年前に、カナダからフィリピンのマニラに「廃プラスチック」として輸出された廃棄物の中身は、実は家庭ごみや使用済おむつ等だったという。フィリピン政府は、カナダ政府に処理を求めていたが、15日と定めた期限までにカナダ側が適切に対応しなかったとして、駐カナダ大使を召還した。
国営フィリピン通信によると、2013~14年にかけて、カナダから、コンテナ約100台分のごみが、リサイクル可能な廃プラスチックとして輸入された。ところが実際にマニラ港に着いた積み荷を確認すると、中身は廃プラではなく、家庭ごみや使い捨てのおむつ等だったという。
環境法・訴訟関連のカナダの非営利団体CELLによるとこのコンテナのゴミは、カナダの民間企業クロニックが輸出元で、フィリピンを拠点とする委託業者により、輸送された。輸送に関してCELLは今年4月、有害廃棄物の輸出入規制を目的としたバーゼル条約に違反していると公表した。
CELLによると、コンテナには「均一的なプラスチックごみが入っている、と虚偽申告されていたが、実際には家庭ごみを含む不均一なごみが入っていた」という。
クロニックのオーナーは、2014年の時点で、カナダの新聞のインタビューに答えて、フィリピン側の指摘に反論。「ごみは入っていない。中身の95%はプラスチックで、その他は、一般的な家庭で使うリサイクルビンだ」と指摘していた。ただ、今回、同社はメディアの取材に登場していない。
問題を協議するため、フィリピンのサルバドル・パネロ大統領報道官がカナダの当局者と会談する予定だった。だが、同報道官によると、相手が姿を見せなかったという。「ごみを自分たちの国に戻すことを拒む姿勢は、外交関係を悪化させる」と報道官は指摘している。
ただ、同国のテディ・ロクシン外相は、「カナダのごみが同国に輸送されるまで、われわれは、傷ついた外交関係を維持はする」とツイートしている。
ドゥテルテ大統領は、当初、今月7日を最後通告日として、カナダの「虚偽ゴミ輸出」に対して、「もしカナダが不法なゴミを回収しなければ、我々がゴミを輸送して、カナダの沿岸か海岸に投げ捨てる」と宣言していた。