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「TCFDコンソーシアム」、27日に発足。TCFD勧告が求めるシナリオ分析や、金融機関による財務評価等を共同で議論。経産省等3官庁も参加、官民連携の場に(RIEF)

2019-05-23 13:41:21

TCFD無題

 

 金融安定理事会(FSB)の「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)勧告に署名した国内の企業や金融機関などが、情報開示や、開示情報の評価等について、共同で議論する「TCFDコンソーシアム」が27日に設立される。同コンソーシアムには、経済産業省、環境省、金融庁の各省庁もオブザーバーで参加、官民の「TCFD対応の場」となりそうだ。

 

 コンソーシアムは、一橋大学大学院・伊藤 邦雄特任教授、経団連の中西宏明会長、全国銀行協会の高島誠会長、三菱商事の垣内威彦社長、東京海上ホールディングスの隅修三会長の5人が発起人として、TCFDに賛同署名した企業に呼びかけて発足する。三菱商事と東京海上は、TCFDに委員を輩出してきた。

 

 コンソーシアム組織は、年一回集まる総会の下に、今後の活動方針を議論する企画委員会を設ける。その下に、情報開示WGと情報活用WGの二つのワーキンググループを置く。この2つのWGが実質的な議論の場となる。さらに活動を広めるためのイベントも実施するとしている。会員は、TCFDに署名した機関とする。

 

 このうち、気候変動で企業が財務的な影響を受ける情報をどう効果的に開示するかを議論する情報開示WGは、企業側とその情報を評価する金融機関との間で議論する形とし、1~2ヶ月に1回の頻度で開催する。主な論点は、それらの情報をどこで開示するか(開示媒体)、TCFDが求めるシナリオ分析のあり方、業種別の開示に向けた議論等が想定されている。

 

 もう一つの情報活用WGは、企業が開示する気候変動関係の情報を、金融機関が投融資資金を供給する視点で、企業と対話し、評価のあり方を議論する。主な論点は、気候変動を考慮した金融商品と着眼点等としており、グリーンボンド、グリーンローン等の評価等も対象になるとみられる。

 

 官民連携での協議の場は、統一した開示方法や評価方法を見極める効果が期待できる。その一方で、欧米諸国ではすでにTCFD準拠の開示や、監督当局の対応が始まっていることから、今後まとまることが期待される「日本案」を、国際的にどうすり合わせるかが、最大の課題になりそうだ。

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190521003/20190521003-1.pdf