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自動開閉の折り畳み式太陽光パネル、石川県の「アクトリー」社が開発。悪天候時にはパネルを閉じて被災防止。持ち運びも簡単に。災害対策にも期待(各紙)

2019-05-27 08:46:12

solar1キャプチャ

 

  各紙の報道によると、焼却炉メーカーのアクトリー(石川県白山市)は太陽光パネルを自動で開閉できる発電装置を開発、今秋、販売する。悪天候時にパネルを閉じることで、被害を防ぐほか、コンパクトにして運びやすくなるため、電源が不足する被災地等での活用も期待される。金沢工業大学と共同開発した。

 

 (写真は、パネルを開いた状態の太陽光発電装置)

 

 日本経済新聞が報道した。アクトリー社は、焼却炉のほか、廃棄物発電、太陽光発電等も手掛けている。今回の「折り畳み型太陽発電パネル」は、金沢工業大学との共同開発である「iU-SOALA Wilsom」。

 

 気象レーダーなどで取得した気象変動等の情報をクラウド上に蓄積し、雨雲などが近づいたり遠ざかったりした時に、合計14枚のパネルが自動で開閉する仕組み。ひょうや降雪等によるパネルの被害を防ぐ。内部の組み込みコンピューターが太陽の軌道などを計算し、日没後は自動でパネルを閉じて「箱型」になる。

 

パネルを閉じた状態
パネルを閉じた状態

 

 夜間にパネルを閉じることで、夜露などによる劣化を防ぎ、常時、開いていることで、パネルにたまる汚れも少なくなる。その結果、発電効率の低下を防げるという。折り畳んだ状態の大きさは、高さ2m、幅1.9m、奥行き2.7mとコンパクトになる。このためトラックや貨物列車などで運びやすい。

 

 どこにでも運びやすいので、災害時に電源が不足する被災地での電源として活用できる可能性がある。同社では、国内外での市場を視野に入れて、販売に力を入れる予定。体と蓄電池なども合わせた1セットの購入価格は2000万円前後を想定する。8月に自社で製品を披露し、11月から受注を始める。将来は売上高10億円規模を想定している。

 

 日中は太陽の位置によってパネルの角度を変えることもできるので、集光効率を高める。またパネルの素材に3種類の半導体を使って幅広い波長の光を吸収できる。一般的な太陽光のエネルギー変換効率は15~20%だが、同社が持つ炉の排熱を有効活用するノウハウを生かして、熱も直接回収できるようにすることで、電気と熱を合わせたエネルギーの変換効率を65%に高まるという。

 

 発電能力は3.5kWで1日の発電量は25kW時。販売の対象としては、電源を必要とする植物工場と合わせて売るほか、通常のパネルでは設置工事に手間がかかる離島や山岳地帯の施設、自治体やイベント会社に対するリースやレンタル等も検討する。

 http://www.actree.co.jp/

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO45248280U9A520C1LB0000?type=my#AAAUAgAAMA