HOME10.電力・エネルギー |伊藤忠欧州、欧州市場での再エネ、英国とセルビアでの廃棄物発電等展開のため、初のグリーンファイナンスフレームワーク設定。グリーンボンド、グリーンローンでの資金調達を容易に(RIEF) |

伊藤忠欧州、欧州市場での再エネ、英国とセルビアでの廃棄物発電等展開のため、初のグリーンファイナンスフレームワーク設定。グリーンボンド、グリーンローンでの資金調達を容易に(RIEF)

2019-06-08 16:25:15

Itouchueuropeキャプチャ

 

 伊藤忠商事の欧州現地法人である伊藤忠欧州(ITOCHU Europe)は、欧州市場でのグリーンボンド、グリーンローン等の調達のため、独自のグリーンファイナンスフレームワークを設定した。同市場での再生可能エネルギー事業と廃棄物処理などの汚染防止・抑制事業の資金調達の「グリーン化」を明確にすることを目指す。

 

 フレームワークでの資金調達は、グリーンボンド原則(GBP)に適合したグリーンボンド、グリーンシュルドシェン(Green Schuldschein:ドイツの債務証書)、グリーンローン原則(GLP)適合のグリーンローン等で行う。 フレームワークの組成はオランダのINGが担当、GBP等への適合性は Sustainalytics が担当した。

 

 フレームワークに基づく対象のグリーンプロジェクトは、①太陽光、風力発電、バイオマス発電(ごみ資源発電)を含む再エネ事業の発電、送配電関連事業の建設、買収、操業②汚染処理・抑制事業の2分野としている。

 

Itochu33

 

 このうち②の汚染処理事業では、英国で4件のごみ発電事業を実施するほか、セルビアでも同事業を1件予定している。欧州では廃棄物の埋め立て処理に頼っている地域が少なくなく、廃棄物を発電燃料として活用することで、再エネ・サーキュラーエコノミーの両面の需要を満たす期待がある。

 

  セルビアでの事業は、首都のベオグラードのドナウ川沿いの老朽化した廃棄物処理場を廃棄物発電所にリプレースする7000万ユーロ(約87億円)の事業計画。欧州復興開発銀行(EBRD)が主要な資金を供給し、伊藤忠もスエズなどとともに事業主体となっている。同市内で発生する廃棄物の発電で29MWの電力を得るほか、56MWの熱供給も可能になるという。

 

 伊藤忠は欧州拠点を含めグループ全体で、CSRと環境分野のチェックリストを公表している。リストはCSRのISO基準であるISO26000の7項目を含め、全部で33項目で構成している。今回のフレームワークの対象事業もこの共通チェックリストによって、人権、ガバナンス、労働慣行、消費者課題、地域コミュニティの参画などのCSR、環境両分野の影響度を事前に評価する。

 

 伊藤忠の欧州支配人の佐藤浩氏は、欧州メディアに対して「伊藤忠欧州は、伊藤忠本社とともに、環境に優しい素材のための新技術の導入や、省エネのための高度技術の展開、省エネと再エネ事業への投資を通じて、欧州でのサステナブルな事業の展開を拡大していきたい」と述べている。

 

 さらに「今回のグリーンファイナンスフレームワークの設定は、欧州でのサステナビリティにコミットしていくことを公に示すもので、われわれにとって重要なマイルストーンだ」と強調している。

https://www.itochu.com/uk/en/sustainability/__icsFiles/afieldfile/2019/05/30/ItochuEUROPEGreenBondFrameworkSecondPartyOpinion_29052019.pdf