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ダイキン工業、エアコン用冷媒の「HFC-32」の特許を無償公開。代替フロンの中でも、温暖化効果が低いHFC-32の普及促進を目指す(RIEF)

2019-07-02 07:56:10

Daikin2キャプチャ

 ダイキン工業は、同社のエアコンに使っている単体冷媒「HFC-32(R32)」の空調機の製造や販売等に関する特許を外部に無償公開する、と発表した。空調・エアコンメーカーは、ダイキンが2011年以降に申請した同社の特許約180件を、契約することなく自由に使用できる。ダイキンは代替フロンの中でも地球温暖化効果が低いHFC-32の普及を促進することで、同社が市場標準になるとともに、過度の規制の設定を避ける狙いもあるとされる。

 (写真は、ダイキンのベトナムのエアコン工場)

 空調機器の冷媒に使われてきたフロンは、オゾン層を破壊することから、モントリオール議定書で使用が禁止された。その後、代替フロン(HFC)が普及している。しかし、HFCには温暖化への影響の高いものがあり、2016年10月の同議定書キガリ改正で、HFC冷媒による温暖化影響を段階的に削減することで合意。同改正は2019年に発効した。

 ただ、HFCのうち、ダイキンが使っているHFC-32は、オゾン層を破壊せず、温暖化係数も従来使用されてきたR410Aの約3分の1でとどまるほか、空調機の運転効率を高めることができるなどの利点がある。また単体冷媒のため、回収・再生が容易で、冷媒の新規生産量を削減できるメリットもある。

 Daikin1キャプチャ

 ダイキンはこうしたHFC-32の特性は、環境負荷低減に有効な冷媒であるとし、普及のため、今回の特許公開を決めた。HFC-32の家庭用・業務用空調機は、世界60ヵ国以上で販売されている。すでに同社は2011年にHFC-32関連の特許93件を途上国向けに無償開放し、2015年には全世界に無償開放した。

 ただ、これらの特許の利用には個別の契約が必要で、特許の内容によっては交渉に1年以上かかるケースもあったという。今回はこれまでの無償特許とは別に、2011年以降に申請した特許約180件を無償開放対象とするほか、使用に際しては、同社の事前許可や契約は不要とした。「複雑な手続きを不要とすることで、より早く、より容易に対象特許を使用できる」(同社)と、普及優先の姿勢を強調している。

 無償公開の対象となる特許のリストおよび特許権公開(権利不行使の誓約)等の詳細は、同社のウェブサイト(https://www.daikin.co.jp/patent/r32)に公開している。対象特許リストに掲載された特許は、将来にわたってリストから取り消すことはない、と宣言している。

 ただし、ダイキングループがHFC-32を単体冷媒として機器に使用する際に、他の企業が特許侵害を訴えるなどの法的行動をとった場合、自社防御の観点から当該企業等に対して、誓約を取り消すことがある、としている。

https://www.daikin.co.jp/press/2019/20190701/index.html

https://www.daikin.co.jp/patent/r32/