米民主党大統領候補の一人、エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員は、自らが提案者でもある上程中の「気候リスク開示法案」に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の勧告を取り込み、再提出した。証券取引委員会(SEC)に、全上場企業向けに温室効果ガスの排出量と、気候関連資産気候変動の情報開示を義務付けを求める内容。来年の大統領選挙での反トランプ法案の一つになりそうだ。
法案は「Climate Risk Disclosure Act」。ウォレン議員(マサチューセッツ州選)と、 Sean Casten議員(イリノイ州)が2018年に共同提案している。
修正案のポイントは、TCFDの勧告に基づき、企業が抱える気候リスクの情報開示を企業自身に求める措置を盛り込んだ。上場企業の情報開示基準を設定するSECに対して、企業が放出する直接、間接(Scope1 、Scope2)の温室効果ガス排出量の情報開示と、自らが保有するか管理する化石燃料資産の総量を開示するルールの設定を指示するとした。
同情報開示によって期待されるソリューションとして、各企業は気候変動が現在のペースあるいは、異なった展開で継続した場合、いかに自らの資産・活動が影響を受けるかという評価を示すことになる。TCFD勧告が示すシナリオ分析の採用である。また、気候危機によって生じる物理リスクと移行リスクに関するリスクマネジメント戦略の設定も求めている。
今回の修正では、法成立後、SECのルール化作業が遅れた場合、企業はルール化を待つのではなく、企業自らのコンプライアンスとしてこれらの情報開示を実施すること、も盛り込んだ。また、法案は、SECに求める気候情報開示のルールを、産業別に設定することと、化石燃料産業企業については追加的な情報開示要求をすることを求めている。