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住友商事、気候変動対策で新方針。「新規の石炭火力発電、石炭鉱山開発は行わない」。ただし、ベトナムで議論になっているバンフォン1石炭火力事業は推進(RIEF)

2019-08-19 14:20:21

sumishou111キャプチャ

 

 住友商事は、気候変動対策の新たな方針を定めた。この中で、石炭火力発電事業について①新規の開発は行わない。ただし、日本国およびホスト国の政策に整合する案件は個別判断② 一般炭鉱山開発事業は、現在の持分生産量を上限とし、新規開発案件は取り組まないーーとした。ただ、ベトナムで同社が建設を推進しているバンフォン1石炭火力発電事業は①に基づく個別判断案件として、事業継続の姿勢を示している。

 

 住商の新方針は、このほど公表された「統合報告書2019」で示された。それによると、気候変動による影響は、地球的規模で世代を超えて社会・環境の安定性を脅かす深刻な問題であり、同社にとっても「注視すべきリスク」ととらえたうえで、「基本的方針」として、「事業を通じて、社会の持続可能な発展に必要な、気候変動問題の解決、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する」としている。

 

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 その「事業における方針」では、 再生可能エネルギー事業については、新たなエネルギーマネジメント、エネルギー消費削減に資するビジネスモデルの開発・イノベーションの促進、その他気候変動の緩和・適応に資する事業を積極的に展開するほか、事業活動に伴う温室効果ガス排出の抑制に努める、とした。

 

  発電事業については、2035年を目途に、持分発電容量ベースで、石炭比率50%→30%、ガス比率30%→40%、再エネ比率20%→30%と、石炭火力主導からガス、再エネ等の「環境負荷の低い発電ポートフォリオにシフトさせる」との方針を示した。

 

 石炭火力発電については、原則として新規開発は行わないと宣言した。だが、内外の環境団体が、問題にしているベトナムで同社が手掛けるバンフォン1石炭火力事業については、あえて具体的に言及して、「例外案件」と位置づけた。

 

  同事業は、住商が出資する現地法人(Vam Phong Power Company)が事業主で、660MW級の超臨界圧石炭火力(SC)を2基建設する計画だ。同事業は国際協力銀行(JBIC9が定めるガイドラインでは、カテゴリーA(環境への重大で望ましく影響のある可能性を持つようなプロジェクト)に相当するほか、ECD公的輸出信用ルールが認める超々臨界圧石炭火力発電所(USC)よりも、CO2排出量の多いSCであるため、環境団体等は内外のルールに逸脱している、と批判している。

 

 住商は、同事業の最初の環境社会影響評価書(ESIA)が2011年に完了し、ベトナム当局の承認を受けていることから、OECDルールの対象外(移行期間) に該当すると説明してきた。しかし、環境NGOらは、同ESIAは2015年に改訂され、さらに最新のESIAが完了したのは2017年11月と、OECDのルールが認める移行期間の例外要件を満たしているとは言えない、としている。https://rief-jp.org/ct1/89340

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/ir/financial/investors-guide/2019