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英豪資源大手のBHP、石炭事業(一般炭)の売却を検討。CEOが示唆。温暖化やESG投資の進展を受け、「事業として魅力がない」(各紙)

2019-08-21 13:13:51

BHP1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、英オーストラリアの資源大手BHPグループは、石炭事業を売却する検討に入ったという。20日記者会見したアンドリュー・、マッケンジーCEOが「他の事業に比べて魅力的ではない」と語った。企業に環境への配慮を求めるESG投資が普及発電時にCO2を大量に排出する石炭火力事業への風当たりが強まっていることなどが理由とみられる。すでにライバルのリオ・ティントは石炭事業から撤退している。

 

 (写真は、BHPのCEO、マッケンジー氏)

 

 日本経済新聞が報じた。それによると、売却を検討するのは、発電所の燃料用に生産している一般炭事業。BHPはニューサウスウェールズ州のマウントアーサー炭鉱のほか、南米コロンビアのセリヨン炭鉱に権益を持つ。19年6月期通期の両炭鉱におけるBHP持ち分の生産量は計2700万㌧で、前期比6%減。20年6月期も最大13%減を見込んでおり、生産は減少傾向にある。


 CEOのマッケンジー氏は、19年6月期通期決算の発表に合わせて開いた電話会見で「将来の需給を考えると、他の事業に比べて魅力的ではない」と炭鉱売却の可能性に言及した。BHP関係者は両炭鉱について「もし今日にでもいい買い取り価格の提示があれば売却を検討する」としている。ただ、石炭のうち、鉄鋼製造に欠かせない原料炭は引き続き保有する方針。

 

 現地の報道では、BHPのマウントアーサー炭鉱の買い手として英アングロ・アメリカンと中国の兗(エン)州煤業の名が挙がっている。セリヨン炭鉱については、権益を共同で保有するスイスの資源商社グレンコアやアングロ社に優先交渉権があるとされる。

 

 BHPはかつて南アフリカや北米にも一般炭の鉱山を持ち、14年6月期の一般炭生産量は7349万㌧と、19年6月期の2.7倍あった。その後南アや北米の炭鉱を手放したことで生産量は減少を続けている。この数年はコロンビアでの悪天候などを減産の理由に挙げていた。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190821&ng=DGKKZO48774000Q9A820C1FFJ000