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化学メーカーのカネカ、生分解性プラスチック生産能力増強のため、グリーンボンド発行へ。9月に50億円。生産能力を5倍増。将来は100倍増の計画も(RIEF)

2019-08-23 13:49:22

kaneka5キャプチャ

 

 化学メーカーのカネカは、廃プラスチック問題で需要が高まっている同社の生分解性プラスチック製品の生産能力を増強するため、50億円のグリーンボンドを発行する。9月に予定している。同社の生分解性プラスチックPHBHは、高い分解性が国際的にも認められており、廃プラ対策とCO2削減の二大環境対策に貢献する期待がある。

 

 カネカはグリーンボンドで調達した資金で、兵庫県高砂工業所のPHBH(商品名は『カネカ生分解性ポリマーPHBH』)の生産力を現在の年間1000㌧から5倍の5000㌧に引き上げる。今回は設備増強となるが、今後、大型プラントの新設を検討しており、将来的には生産能力を年間10万㌧にまで拡大することを目指すとしている。https://rief-jp.org/ct12/81648

 

カネカの生分解性プラスチックを使った製品
カネカの生分解性プラスチックを使った製品

kaneka2キャプチャ

 

 同社の生分解性プラスチックPHBHは、主に規制の厳しい欧州市場に向けて輸出され、レジ袋やストロー、果物・野菜袋、コンポスト(生ゴミ堆肥化)袋用等として活用されている。

 

 同社初の発行となるグリーンボンドに対しては、格付投資情報センター(R&I)がグリーンボンドアセスメントで最上位のGA1の予備評価を付与した。またR&Iはセカンドオピニオンとして、市場基準のグリーンボンド原則(GBP)への適合を付与した。

 

微生物の体内に蓄積されるPHBH
微生物の体内に蓄積されるPHBH

 

 PHBHは、植物油などのバイオマスを原料とし、微生物発酵プロセスで生産されるポリマー。微生物による土壌中や海洋中で分解され、最終的に水とCO2になる。30℃の海水中で6ヶ月以内に90%が水とCO2に分解されるという。こうした高い分解性能から、欧州の「OK Biodegradable MARINE」の認証を得ている。

 

 昨年3月には米国食品医薬品局(FDA)の食品接触物質(Food Contact Substance: FCS)に登録され、食品の製造、梱包、包装、輸送、保持のための安全製品としても認定されている。今後、米国市場でも、海洋資材や食品包装など幅広い用途での需要増が期待されている。日本のバイオプラスチック基準に対しては、基準値を大きく上回る性能値を示している。

 

PHBHの増産計画
PHBHの増産計画

 

 原料となる植物油には、現在、パーム油を使っている。このため同社は、同油のグリーン調達を定めたRSPO(持続可能なパーム油に関する円卓会議)の正会員として、RSPO認証農園の油を活用している。ただ、将来の生産拡大を見越して、廃食用油や非可食油等の原料化にも取り組んでおり、今回のグリーンボンドでの資金使途にもこれらの研究事業へのファイナンスも含まれているという。

 

http://www.kaneka.co.jp/