ロシアのノバテク、西部ガス(福岡)と合弁会社設立で合意。北極圏のヤマルLNG基地の天然ガスを、日本、アジアに輸出販売。将来は北極海東航路で、直接日本へ。経産省が支援(RIEF)
2019-09-05 22:49:56
九州を拠点とする西部ガス(福岡市)は5日、ロシア最大の独立系ガス企業のノバテク(PAO NOVATEK)が北極圏ヤマルLNG基地で開発した天然ガスを、日本・アジアに販売する合弁会社の設立で合意した。将来は、温暖化で海氷が減少する北極東航路で、日本等に販売する期待もある。
(写真は、世界最大の埋蔵量のヤマルLNG基地)
両社はウラジオストックで基本合意書(HOA)を結んだ。合意書締結式には、世耕弘成経済産業相とロシアの経済開発相のMaxim Oreshkin氏も出席した。日ロ経済協力の一つとの位置づけだ。
設立される合弁会社は、ヤマル基地で生産される天然ガス、LNGを、日本、アジア市場でガス火力発電所への販売や燃料積み出し等のマーケティング業務を担当する。両社は昨年12月に、西部ガスが北九州市に保有する「ひびきLNG基地」の利用で合意しており、運んできた天然ガスはここに貯蔵する。同基地は今後、拡大する予定。
ノバテクは今年6月、ヤマルから初の日本向け輸出は実施している。ヤマル基地から北極海を西進し、ノルウェー沖からスエズ運河経由で日本に運んだ。同社は、将来は、温暖化で海氷が減少する北極海を東進し、ベーリング海経由の最短ルートで運びたい考えという。https://rief-jp.org/ct4/91105
ノバテク会長のLeonid Mikhelson氏は「今回、われわれは主要な天然ガス消費国の最終消費者に直接販売する戦略の実現へ、重要な一歩を踏み出した。日本は世界最大の天然ガス消費市場の一つであり、LNGの長期的な消費国。西部ガスとの合弁会社の設立は、われわれのガス供給の柔軟性を高めることにつながり、日本・アジア市場でのガス販売上の付加価値ビジネスにつながる」と期待を込めている。
ノバテクは、1994年設立で、ロシアの国営ガス会社のガスプロムに次ぐ生産量を誇り、独立系ガス会社では最大の企業。2017年に、ヤマルLNG基地の完成に伴い、グローバル市場への進出を明確にしている。
同社のガス採掘事業は世界最大のガス埋蔵量が確認されているヤマルガス田に依存している。同地はロシアの天然ガスの80%を生産しているほか、世界全体のガス生産の15%を占めている。