ロシアの北極圏ギダン半島での「アークテックLNG2」開発、調印。日本の三井物産、JOGMECも10%出資。他に中国、仏企業。総事業規模210億㌦(2兆2000億円)(RIEF)
2019-09-06 14:53:53
ロシアの民間最大のガス会社、ノバテク(PAO NOBATEK)は、北極圏ギダン(Gydan)半島のガス田を開発する「アークテックLNG2」の投資決定に調印したと発表した。日本の三井物産、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の共同出資会社も10%の出資比率で参加する。事業規模は210億㌦(2兆2000億円)、2023年頃からLNG生産を開始し、アジア、欧州に輸出する。
アークテックLNG2は、現在、ノバテクが開発している世界最大のガス田、ヤマルLNG基地に次ぐ大規模ガス開発となる。ウラジオストックで開催した東方経済フォーラムで、最終投資を決めた。
事業会社にはノバテクが全体の60%を出資、日本勢は「Japan Arctic LNG B.V.」(オランダ)を通じて出資する。それ以外では中国石油天然気集団(CNPC)、中国海洋石油集団(CNOOC)、仏トタルがそれぞれ10%出資する。
東方経済フォーラムに出席した世耕弘成経済産業相は5日開いたイベントで、「コストに基づくとアークテックLNG2は日ロ関係史上最大のプロジェクトだ」と評価した。
プロジェクトは、北極圏にあるロシア北部ヤマロ=ネネツ自治区のギダン半島にある在来型のウトレニエ・ガス・コンデンセート・ガス田を開発。ギダン半島は現在開発が進むヤマル半島の対岸に位置する。
同地に、年間1980万㌧の生産能力を持つLNG設備を建設する上中流一体型事業。生産系列は3つに分かれ、それぞれ660万㌧の生産を行う。最も早い系列が2023年に生産を開始、以降、2026年に全系列が出そろう計画。
生産したLNGは温暖化の進展で海氷が減少している北極海航路を通じてアジア及び欧州に供給する。欧州向けには北極圏西航路、日本、中国、アジア向けには東航路を利用する見通し。すでにノバテクは日本の西部ガス(福岡)との間で、輸出したガスを貯蔵するタンクの調達を決めている。http://rief-jp.org/ct4/93556
ノバテクは先行するヤマル基地のガスに加えて、アークテックLNG2の開発で、世界最大のLNGサプライヤーの座に着くことになる。ロシアの昨年の世界LNG市場シェアは8%。2035年までに20%に拡大する見通し。ノバテクはその半分を供給することになる。
ノバテクのレオニード・ミヘルソン( Leonid Mikhelson)最高経営責任者(CEO)は「今日、われわれにとって世界で2番目に大きなガス田の最終的な投資決定を承認した。これにより、世界最大のLNG生産企業としての一歩を踏み出した」と宣言した。
http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_15_000001_00006.html