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日立製作所、低炭素環境価値創出に向け、社内炭素価格制度導入。本社及び主要子会社。仮想価格はCO2㌧当たり5000円。TCFDのシナリオ分析では「高いレジリエンスあり」と自己評価(RIEF)

2019-09-25 19:16:06

hitachi113キャプチャ

 

 日立製作所は24日、環境価値創造に向けた取り組みとして、CO2排出量に応じて費用を負担するカーボンプライシング(CP、炭素の価格付け)。制度を本社と完全子会社、上場4子会社に導入したことを公表した。同時に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が求めるシナリオ分析について、2℃上昇と4℃上昇の2つのシナリオを想定、グループ全体のリスクと事業機会を評価した。

 

 同日発表した「『日立環境イノベーション2050』と環境価値創出に向けた取り組み」の中で開示した。この中で、低炭素化への取り組みとして、「生産」に伴うCO2削減だけでなく、「使用」に伴う削減にも注力するとし、バリューチェーン全体でのCO2削減量を2021年度には20%超削減とする目標(2010年度比)を示した。このうち生産部門での削減は9%減、製品・サービスの使用面では21%減としている。

 

 生産部門(事業所)における脱炭素化を促すため、2019年度投資分から社内でカーボン価格を設定、CO2削減の設備投資を促進する取り組みを導入したことを明らかにした。設定する社内のCO2仮想価格は、㌧CO2当たり5000円とし、本社はじめ100%子会社、上場子会社4社の間で投資判断の際に適用する。

 

社内カーボン価格の活用
社内カーボン価格のフレームワーク

 

 仮想価格の5000円は、国際エネルギー機関(IEA)等のシナリオを参照して設定したという。ちなみに、東京都が実施している排出権取引制度でのクレジット価格(2018年12月時点)は、超過削減量が200~1100円/tCO2、再エネクレジットが6400~11200円/tCO2となっている。社内でのカーボンプライシング制度はすでに、宇部興産、コクヨ、デンカ、JSR、川崎汽船などが導入している。

 

 気候変動による日立グループのリスクとビジネス機会にを評価するためのTCFD提案のシナリオ分析については、2℃(日立の環境長期目標設定の前提シナリオ)と、4℃(気候変動対策蛾進まず、物理リスクが多く発生)の2ケースについて、短期(2019年~2021年度の3カ年)、中期(2030年度まで)、長期(2050年度)までの影響をそれぞれ分析した。

 

 このうち移行リスク(政策変更などによる影響)については、「炭素税、燃料・エネルギー消費への課税などの導入に伴う事業コスト増」や、技術面では「製品・サービスの技術開発の遅れによる販売機会の逸失」を指摘。物理リスクについては、「台風や洪水、渇水などの激化(急性リスク)や、海面上昇、長期的な熱波(慢性リスク)などによる事業継続のリスク」を指摘した。いずれも短期~長期の期間にわたって影響するとした。

 

想定する移行リスクと物理リスク
想定する移行リスクと物理リスク

 

 ただ、結論的には、「両方のシナリオのいずれでも、中長期的な市場変化に対応し、柔軟かつ戦略的に事業展開し、持続的な成長を実現できる高いレジリエンスを有する」としている。分析の評価については第三者評価が望ましいが、それらは付記されていない。

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