HOME10.電力・エネルギー |商船三井、伸縮可能な「翼」で風力エネルギーを活用する装置の開発承認を取得。2022年に第一号船就航。翼1本で燃費効率5~8%改善。最大8本まで増設可能。「新帆船時代」の幕開け(RIEF) |

商船三井、伸縮可能な「翼」で風力エネルギーを活用する装置の開発承認を取得。2022年に第一号船就航。翼1本で燃費効率5~8%改善。最大8本まで増設可能。「新帆船時代」の幕開け(RIEF)

2019-10-03 19:36:37

shousenmitsui1キャプチャ

 

  商船三井は、大島造船所(長崎県西海市)と共同で、伸縮可能な「翼」で風力エネルギーをとらえて運航する「硬翼帆式風力推進装置」の開発承認を得た。2022年に同装置を搭載したばら積み船の運航を始める予定。風力エネルギーを動力の一部に活用することで、1航海当たりの燃料消費量が5~8%削減できる。将来は「翼」の数を増やすことでさらなる燃費改善が期待できるという。

 

 硬翼帆式風力推進装置の開発に至った「ウィンドチャレンジャープロジェクト」は、2009年に東京大学が主宰する産学共同研究プロジェクト「ウィンドチャレンジャー計画」として始まり、その後、国土交通省の「次世代海洋関連技術研究開発費補助金」の交付対象事業になっていた。

 

 2018年1月からは、これらの産学共同研究を引き継ぐ形で、商船三井と大島造船所がプロジェクトの中心になってきた。今回、一般財団法人日本海事協会(NK)から同装置の設計に関する基本承認(AIP;Approval in Principle)を得たことで、硬翼帆の構造およびその制御に関する基本設計は完了した。

 

着岸時は翼を縮める。
着岸時は翼を縮める。

 

 今後、同プロジェクトにおいてさらに詳細設計を進め、2022年中に硬翼帆を1本実装した新造船を運航させる計画だ。1本帆の場合のGHG削減効果は日本~豪州航路で約5%、日本~北米西岸航路で約8%を見込めるという。

 

 翼は風の強弱によって上下に4段階で伸縮が可能。着岸時にはもっとも低く縮めるため、目立たない。また船上に複数の翼の増設が可能。翼が4本の場合、燃費効率の改善度は3割になる。今後、船舶のニーズに応じて、翼は1~8本の間で選択できるようにするという。

 

 複数の翼を実装し、他のGHG削減対策と組み合わせることで、将来的には国際海事機関(IMO)が2018年に策定した船舶からのGHG排出量削減目標である2050年までの50%削減(2008年比)の達成を目指すとしている。

https://www.mol.co.jp/pr/2019/19074.html

 

商船三井と大島造船所は、本プロジェクトを通じてGHG削減に向けた技術的選択肢の一つを構築し、地球環境保全への貢献を目指していきます。