HOME11.CSR |ユニ・チャーム、使用済み紙おむつのリサイクルにメド。2021年にも販売へ。素材のパルプ、高分子ポリマーを取り出し、オゾンで滅菌。新品と変わらず。回収システム確立がカギ(RIEF) |

ユニ・チャーム、使用済み紙おむつのリサイクルにメド。2021年にも販売へ。素材のパルプ、高分子ポリマーを取り出し、オゾンで滅菌。新品と変わらず。回収システム確立がカギ(RIEF)

2019-10-18 11:52:22

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 ユニ・チャームは、使用済み紙おむつをリサイクルし、再び紙おむつとして商品化する「循環型システム」の技術的な課題解決のメドが立った、と発表した。再生紙おむつ製品は2021年にも販売する。紙おむつの再生処理が進めば、原材料のパルプやプラスチック等の使用減少が進み、環境負荷増大に一定の歯止めがかかると期待される。

 

 紙おむつは使用後、衛生上の理由から大半が一般廃棄物として処理されている。紙おむつの素材は、パルプ5割、プラスチック3割、高吸水性ポリマー(SAP)2割で、その廃棄は森林資源の伐採要因、海洋廃プラスチック汚染の一因とも指摘されている。

 

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 ユニ・チャームは2015年から、再生利用プロジェクトを展開。これまでに、使用済みの紙おむつから素材のパルプや高分子吸収ポリマーを取り出す独自の技術を開発した。さらに、オゾンで滅菌する方法に取り組み、すでに厚生労働省の衛生基準をクリアするレベルを達成したという。

 

 今般、再生紙おむつの試作品を公開したが、新品のパルプを使った製品と比べても見分けがつかない品質になっている。また、リサイクル処理に際して、再生素材からトイレットペーパーやメモ用紙、紙製ファイルなど様々な試作品も製作した。

 

 使用済み紙おむつの回収のため、16年から鹿児島県志布志市と実証実験を実施している。ごみの分別時におむつの項目を設け、他の廃棄物と混じらないように回収することで、回収・処理コストを低下できるかが課題だ。実証実験には他の複数の自治体も関心を示しているという。

 

 現在のところ、再生紙おむつの販売価格は未定。回収・処理コストの低下の見通しと、再生技術の低廉化等に加えて、廃棄物量縮減のために自治体や個人等の協力体制が必要になってくる。そうした残る課題解決のため、同社は10月1日付でCSR本部内に「リサイクル事業準備室」を設置した。

 

 使用済み紙おむつのリサイクルについては、欧米でも取り組みが進んでいる。日本経済新聞によると、米プロクター・アンド・ギャンブルは2017年からイタリア北部の自治体と組み、使用済み製品の回収を進めている。英蘭ユニリーバは今月上旬に廃棄物ゼロを目指し、ごみの回収費用の負担を発表している、という。

 

http://www.unicharm.co.jp/company/news/2019/1212472_13296.html