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日本電産、今月中にグリーンボンド発行。期間3年~7年の3本、合計1000億円。調達資金はEV等の駆動用モーターの研究開発等に充当。中国市場での需要対応に充当(RIEF)

2019-11-11 11:28:44

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 日本電産は同社として初のグリーンボンドを発行する。期間3年、5年、7年の3本を今月中旬以降に同時発行し、総額は1000億円になる。国内での円建てグリーンボンド発行ではこれまでで最大規模。調達資金は電気自動車(EV)の駆動用トラクションモーターの研究開発費や生産設備の投資に充当するという。

 

 期間3年のボンドを500億円、5年債を300億円、7年債を200億円発行する。資金使途となるトラクションモーターは、EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)などのCO2排出量をほぼゼロに抑える機能を供えた「E-Axle」。同社独自の冷却システムを採用しているため、小型・軽量化を実現できるという。

 

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 日本電産では、中国の自動車メーカーなどからの同モーターの受注が本格化しており、2019~23年度の受注見込みは455万台に達している。こうした高い需要に応じたモーター開発を進めるため、生産体制の増強が急務で、今月初めには、中国自動車メーカー、広州汽車グループとの間でモーター製造の合弁会社を設立している。

 

 今回のグリーンボンドでの調達資金は、こうした中国市場での需要増大と合弁会社の設立資金等に充当されるとみられる。日本の資本市場で調達した資金を、海外の主要市場での企業展開に充当する事例になりそうだ。

 

 主幹事は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、大和証券、SMBC日興証券、ゴールドマンサックス証券、JPモルガン証券。三菱UFJモルスタ証券が、グリーンボンド・ストラクチャリング・エージェントを務める。ボンドのグリーン性については、格付投資情報センター(R&I)が国際基準のグリーンボンド原則(GBP)への適合を評価し、同社のグリーンボンド格付で最上位のGB1を付与する。

 

 同社はトラクションモーターを成長のけん引役に据えている。同モーターを含む車載事業の売上高をM&A(合併・買収)も含めて、18年度の約3000億円から20年度までに最大1兆円にする計画を立てている。温暖化対応のビジネスチャンスを取り込んだといえる。

 

 また機関投資家の間でグリーンボンドに対する投資需要が高まっていることから、投資家需要を取り込み、環境配慮の経営路線をアピールする狙いもあるようだ。これまで国内発行の円建てグリーンボンドでは、今年4月にトヨタファイナンスが発行した600億円が最大の発行額だった。

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