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NTTの「スマートエネルギー事業」構想、具体策が明らかに。再エネ発電容量は沖縄電力の現在の発電量の2倍、四国電力の約8割(2025年度)。送電コストも安く価格競争力(RIEF)

2019-11-11 23:22:49

NTT2キャプチャ

 

 NTTは今年春に、再生可能エネルギー事業や送配電業務などの「スマートエネルギー事業」構想を打ち出したが、その具体策が報道された。再エネ事業では2025年度までに、現在の沖縄電力の2倍の450万kWの発電量を備えるほか、送配電事業では全国約7300カ所の電話局等から需要家まで自前の配電網を整備する。また社用車1万台を電気自動車(EV)とし、災害時には移動蓄電池として活用する。

 

 (写真は、NTT東日本の通信ケーブル網。この中に直流電力送電線を設置できる)

 

 NTTの「スマートエネルギー事業」構想は、NTTが全国に持つ電話局等の施設ネットワークと、通信技術を活用して、既存の大手電力会社に対峙できる全国規模の発電・送配電ネットワークを構築する計画だ。基本構想は3月27日付の本サイトで紹介している。http://rief-jp.org/ct4/88434

 

 今回、日本経済新聞が構想の具体策を報じた。それによると、再エネ発電事業は、自社ビルの周辺などに太陽光、風力、バイオマスなどの再生エネの自立型電源を整備。外部からの電源の調達もあわせ、25年度に計450万kWを外部に供給するという。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52024190R11C19A1MM8000/

 

NTT1キャプチャ

 

 発電量450万kWは、現在の沖縄電力の2倍、四国電力の現在の発電量の約8割に達する。また東京電力福島第一原発の事故前の5基の原発発電量合計の359万6000kWを、約100万kW上回る。

 

 通常の再エネ発電の新電力会社は、発電した電力を既存電力会社の送配電網に接続して需要家に供給する。そのため、再エネ発電の多い日は接続を拒否されるケースも生じる。NTTの場合は自前の送電網を使うのでそうした接続問題が起きない。送電網は直流方式を採用するため、既存の電力大手の送電網に比べ効率が5~10%よく、既存電力会社の送電契約よりも価格競争力で優位に立つ。

 

 また、固定電話の利用減で生まれた電話局等の施設の空きスペースに、自前の蓄電池を配備して、発電した自前の再エネ電力の蓄電ネットワークを構築する。蓄電規模は、25年度までに120万kW時にする。蓄電設備は自然災害時や事故などで、近隣の病院や工場などが停電時に弾力的に対応可能となる。

 

各地の電話局が再エネ・蓄電・送配電のネットワーク拠点に
各地の電話局が再エネ・蓄電・送配電のネットワーク拠点に

 

 EVネットワークは、2030年までに1万台規模の社用車を切り替えて実現する計画。NTTは一連の事業に25年度までに毎年1000億円規模を投じる計画という。総額6000億円の事業規模となる。子会社のNTTアノードエナジー(東京)を核に事業を進める。

 

https://www.ntt.co.jp/news2019/1903/190327a.html