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三菱商事・中部電力、オランダの再エネ主導の電力会社、エネコ(Eneco)買収。約5000億円。商事は欧州での洋上風力発電事業を一部、新会社に移管(RIEF)

2019-11-26 16:16:24

eneco1キャプチャ

 

 三菱商事と中部電力で構成するコンソーシアムは、オランダの電力大手のエネコ(Eneco)の全株を41億ユーロ(約4920億円)で買収することで、エネコの株主委員会と合意した。エネコはオランダやベルギー等で電力の小売事業から発電まで総合的に展開、風力発電、太陽光発電等の再生可能エネルギー事業を中核に据えている。三菱商事は自ら欧州で展開する洋上風力発電事業の一部をエネコに移管するなど、事業の統合化を図る。

 

 エネコはその起源を19世紀にまで遡ることができ、オランダの各自治体による風力発電事業等の地域電力事業を統合する形で発展してきた。2007年には、他のエネルギー電力会社に先んじる形でサステナブル戦略を取り入れてきた。今回の買収交渉ではエネコの株主を保有する44の自治体からの全株買い入れで合意した。

 

 日本側は、三菱商事が80%、中部電力が20%を出資する共同出資会社を設立し、買取り株式の受け皿とした。買収資金は手元資金で対応するという。買収後も、エネコはオランダ市場等で従来通りのビジネス展開を行うほか、従業員の雇用関係、同条件、ブランド、本社所在地(ロッテルダム)等も不変のまま継続する。

 

再エネ発電に強いエネコ
再エネ発電に強いエネコ

 

 CEOのRuud Sondag氏は買収契約完了後に辞任するが、新エネコのシニアアドバイザーとして留まる。新CEOには新たにオランダ人の経営者を据えることになる。またエネコの営業担当のChief Customer OfficerであるHans Peters氏と、三菱商事の代表が役員会に新規に加わる予定。

 

 エネコが展開してきたサステナブル戦略も引き継ぐ。同社は現在、オランダ、ベルギー、ドイツを中心に1200MWの再エネ発電量を抱えており、これを5年以内に2倍に増強する計画だ。三菱商事は欧州市場で洋上風力発電事業等を積極的に展開しており、これらのうち400MW以上をエネコに移管する計画という。さらにエネコのノウハウ等を踏まえて国際市場での展開を強化する。

 

 商事はエネコを欧州でのエネルギー事業の拠点と位置づける考えという。今回の買収で、商事が内外に保有する再エネ事業の保有量は、発電量ベースで3000MWに拡大。電力ポートフォリオに占める再エネ比率は現状の約10%から、2020年代前半に約20%まで倍増することになる。

 

 エネコが保有する電力・ガスの小売契約はオランダ、ベルギー、ドイツ合計で約600万件。契約件数のシェアはオランダで2位、ベルギーで3位。18年度の最終利益は1億3600万ユーロ(約163億円)。信用格付けはS&PがBBB+を付与している。

 

https://www.eneco.com/news-and-figures/