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東京ガス、2050年をメドに、CO2排出量の実質ネットゼロを目指す目標を掲げる。2030年の再エネ発電量を現状の10倍に。CCUSなどの技術開発にも本腰(RIEF)

2019-11-28 16:03:19

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 東京ガスは28日、2050年ごろをメドに、CO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げた新たな経営計画を発表した。再生可能エネルギーの取扱量を2030年には19年度比で10倍以上の500万kWに増やすほか、天然ガスの有効利用等を推進、30年以降は水素、CCSの活用等でCO2排出ネットゼロを実現するとしている。国内の大手エネルギー企業でネットゼロを目標に掲げるのは東ガスが初めて、としている。

 

 2030年までの長期経営方針「コンパス2030」の中で打ち出した。東ガスは天然ガスを主要エネルギー源として供給する。同ガスは、石炭火力発電などで供給される電力に比べて、CO2排出量は少ないものの、化石燃料であることには変わりなく、CO2排出量(2013年度)は、家庭で都市ガスを使う際の排出量、原料の液化天然ガスLNG)の輸送時の排出量等を合計すると年約3700万㌧に上るという。

 

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 こうしたCO2排出量を削減するため、 洋上風力などの再エネ電源を拡大するほか、ガス自体の脱炭素化技術開発を促進して排出量削減を推進。CCUS(CO2の回収・利用・貯留)技術の利用、再エネ等との調和した天然ガスの有効利用、海外での削減効果の取り込み等を合わせて、30年ごろには1000万㌧強の削減に貢献する、としている。

 

 2050年には、こうした取り組みをさらに推進するほか、電気・熱分野の脱炭素化にも力を入れ、ネットゼロ実現に向かう、としている。主要対策の一つとなる「再エネと天然ガスの調和」では、海外を中心に風力発電等の再エネ電源への投資を進め、国内では電気自動車や蓄電池等を活用した分散型エネルギービジネス、VPP(仮想発電事業)等に力を入れるとしている。

 

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 ただ、東ガスの「ネットゼロ」宣言は、2030年経営計画の延長線上を展望して「『CO2ネット・ゼロ』にすることに挑戦する」との表現で、明確に「2050年ゼロ」を目標化しているようには読めない。国際的な再エネ100%を目指す「RE100」にも現時点では加盟していない。

 

 化石燃料のガスを原料とする事業からのCO2排出ゼロを実現するのは、技術的に不可能なことから、再エネ電源との連携や省エネ化等が中心にならざるを得ない。30年以降の脱炭素技術のイノベーションとして、「天然ガスの高度利用」「CCUSの導入」「水素・メタネーション等の利用」等をあげており、これらの技術革新が「ネットゼロ」実現のカギとなる。

 

内田社長
内田高史社長

 

 内田高史社長は記者会見で、「エネルギーを扱う会社がどうあるべきかが問われている。まずは2030年までに低炭素化を進め、その先の脱炭素化の流れをリードする」と語った。

 

https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/list.html