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国際再生エネルギー機関(IRENA)、2030年までにグローバルなエネルギー供給の57%を再エネで供給。総額10兆㌦(122兆円)の投資必要。化石燃料からの資金転換で実現可能と強調(RIEF)

2020-01-16 17:50:09

 

 国際再生エネルギー機関(IRENA)は、実質的に活動を始めた2010年以来、再生可能エネルギーが世界のエネルギー供給の26%を占め、投資総額3兆㌦に達したと指摘。今後、気候リスク対応のエネルギー転換を推進するためには、2030年までに再エネ比率を57%に引き上げる必要があり、年間の再エネ投資額を7370億㌦に倍増させ、総額10兆㌦の投資が必要と強調している。

 

 IRENAは2019年に設立が決まり、10年7月にIRENA憲章が発効、実質稼働した。その後の10年を振り返り、エネルギー供給の4分の1に達したことで、比較的順調な成果をあげていると評価している。ただ、急速に進む気候変動の激化を抑制していくには、化石燃料から再エネへの移行をさらに加速する必要があるとして、2030年までに過半のエネルギー供給を再エネで賄う目標を設定した。

 

 このエネルギー転換は同時に、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも資することになる。30年に再エネ比率57%を達成するには、現在、年間3290億㌦となっている再エネ投資額を今後の10年間に年平均7370億㌦ずつに増額する必要がある。

 

「これまでの10年」での再エネ投資の推移
「これまでの10年」での再エネ投資の推移

 

 こうした投資額の増額によって再エネ電力が整備されることで、30年までに投資効果としての電力コストの低下、利用拡大等の経済的メリットが年間1兆6000億㌦~3兆7000億㌦と、年間の投資額の3~7倍の割合で見込まれるとしている。費用対効果の高さも再エネの特徴、と指摘している。

 

 さらにIRENAは、再エネの利用面での利点として、価格が手ごろであるほか、スケールアップも、地域ごとのダウンサイジングにも、弾力的に対応できる点をあげている。その結果、先進国の需要だけでなく、途上国の需要にも対応でき、世界の主要な電力源(primary source)になれるとしている。

 

2030年までに必要な投資額
2030年までに必要な投資額

 

 特に建設コストの低下が継続的に進み、もっとも価格競争力のある発電オプションになり得ると期待を表明している。途上国の無電化地域でも、オフグリッド再エネが普及の勢いを強め、電力・エネルギーへのアクセスギャップ解消に貢献している。

 

 グローバルベースでのエネルギー転換が進行することは、同時に、雇用を創出することにもつながる。特にオフグリッドや地産地消型の再エネ循環システムの構築には、地域の需要に立脚した効果が期待できる。こうした需要の拡大がイノベーションを加速する原動力にもなっていく、としている。

 

  IRENAの事務局長の Francesco La Camera氏は「われわれは再エネ活動の新たな10年に入った。今後の10年では、エネルギーシステムは比類のない速さで転換していくだろう。こうした転換を確実にするためには、より強い政策の実施と、投資の増額を進めなければならない」と述べている。

 

https://irena.org/publications/2020/Jan/10-Years-Progress-to-Action