マイクロソフト、2030年にサプライチェーンを含む全取引対象に「カーボン・ネガティブ」達成宣言。創業以来のCO2排出量を埋め合わせ。10億㌦の技術支援ファンドも立ち上げ(RIEF)
2020-01-17 16:26:30
マイクロソフトは16日、2030年までにCO2の排出量をネガティブ(CO2吸収量が上回る)にすると宣言した。企業活動により直接排出するCO2のほか、光熱費やサプライチェーン等の間接的排出量も含める。さらに顧客企業やサプライヤーのカーボンフットプリントを削減する技術開発促進に10億㌦(約1090億円)のファンドを立ち上げる。これらの措置で、1975年の創業以来、同社のCO2排出量をすべて埋め合わせるとしている。
(写真は㊧から、社長の Brad Smith氏、CFOの Amy Hood氏、CEOのSatya Nadella氏)
CEOのサティア・ナデラ( Satya Nadella)氏らの経営トップが16日に、米ワシントン州の本社で発表した。「カーボン・ネガティブ」政策の展開には、2021年から同社のサプライチェーンからの調達プロセスに、カーボン排出削減評価を盛り込むことも実施する。
マイクロソフトは取引全体での年間CO2排出量はおよそ1600万㌧。同社の事業活動で直接排出するCO2(Scope1)が10万㌧、光熱費等(Scope2)が400万㌧、サプライチェーン等の排出量(Scope3)が約1200万㌧という。グローバル展開する同社だけにScope3の大きさが特徴だ。
これらCO2削減の取り組み状況については、同社の「Environmental Sustainability Report」で明記する。さらに取り組みの効果を高めるため、各国政府がCO2削減と除去を加速する気候政策を強化するよう働きかけていくことも強調した。
ナデラ氏は、「(気候変動という)マクロな課題を単独で解決できる会社はない。ただ世界的なテック企業として我々には特に責任がある」と話した。
カーボン・ネガティブ達成のプロセスとして、まず、2030年までに同社の事業活動からのCO2排出量の半分以上を削減する。25年までにデータセンターや社屋で使う電力を100%再エネ電力に切り替え、30年までには会社の敷地内で使う自動車も全て電気自動車(EV)に代える。
さらに21年夏にはゲーム機「Xbox」の部品メーカーなどのサプライヤー企業に対して、開発したCO2排出量を計測するツールを提供し、協力を要請する。社屋の建設用の資材や食事からのCO2削減にも踏み込むという。対策資金としては、2012年から同社内部で実施しているカーボン取引等を拡大する。
10億㌦の新ファンドは主にサプライヤーのカーボンフットプリント削減のための技術開発投資を促すことを目指す。調達先のサプライヤーにCO2削減インセンティブを付与する狙いだ。これらの対策を持続的に有効に継続するため、7つの原則(要素)に基づいたアプローチを掲げた。
①科学と科学的推計への立脚②自らのカーボンフットプリントへの責任を果たすこと③新たなカーボン削減・除去技術への投資(10億㌦ファンド)④世界中の顧客との協働⑤効果的な透明性の確保⑥気候関連公共政策への働きかけ⑦従業員の賛同と協力ーーだ。
https://news.microsoft.com/climate/