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英石油メジャーBP、事業活動・石油・ガス採掘からの温室効果ガス排出量を2050年までに「ネットゼロ」化する目標発表。メタン排出量は2023年までに50%削減(RIEF)

2020-02-13 11:40:14

BP2キャプチャ

 英石油メジャーのBPは12日、2050年までに事業活動で生じるCO2等の温室効果ガスの排出量を、ネットゼロにする目標を発表した。CO2削減だけでなく、石油・ガス採掘時に発生するCO2より温暖化効果の高いメタンの排出量も2023年までに半減させる。CEOのバーナード・ルーニー(Bernard Looney)氏は「世界のカーボン・バジェットは有限で尽きようとしている。早急にネット・ゼロの世界にシフトしなければならない」と強調した。

 

 (写真は、「ネットゼロ」宣言をするBPの新CEPルーニー氏)

 

 ルーニー氏は今月4日にCEOに就いた。就任初日にはロンドン中心部にある本社に詰め掛けた環境保護団体から抗議活動の洗礼を受けた。今回、就任後初めての会見で、気候変動対策をアピールし、エネルギー転換への決意を打ち出した。

 

 BPは現在、世界でのエネルギー事業活動で年間5500万㌧のCO2(CO2e)を排出している。また石油・ガスの生産活動で排出されるカーボン量は3億6000万㌧で、合計すると4億1500万㌧の排出量を2050年までに実質ゼロに縮小することを目指すことになる。

 

BP1キャプチャ

 

 このネットゼロ目標を実現するために、BP自らのビジネスについての5目標と、世界の温室効果ガス排出削減のための5目標を公表した。

 

 自らの事業目標としては、①BP全体でのゼロ②石油・ガス生産に伴うゼロ③BPのすべての販売製品の炭素含有量を2050年までに50%削減④石油・ガス生産サイトへのメタン測定装置の整備と事業に占めるメタン含有量を2023年までに50%削減⑤非石油・ガス事業への投資比率を長期的に高める、としている。

 

 世界をネットゼロに導くための5つの目標としては、①ネットゼロを支援するため、カーボン価格制度を含む政策の導入支援を積極的に行う②BPの従業員に対して、ネットゼロに向けて取り組むさらなるインセンティブを付与③業界団体での取り組み促進のための新たな期待の設定④TCFD提言への支援を含む情報開示の透明性促進を先導する自覚⑤国や都市、大企業等の脱炭素化を支援する11の新たなチームを立ち上げる、としている。

 

記者会見するCEOのルーニー氏
記者会見するCEOのルーニー氏

 

 ルーニー氏は、今回の宣言を「BPの新たな目的と野心」と表現した。「エネルギーは、信頼でき、手ごろな価格で利用が可能であるだけでは、もはや十分ではない。よりクリーンでなければならない。そのためには、世界のエネルギーシステムを再構築するため、数兆㌦の投資が必要になる。これは大きな挑戦だが、同時に膨大なオポチュニティでもある。BPはその挑戦とオポチュニティのための役割を果たすために、我々自身が変わらねばならないことは明白だ。変わることは、世界とBPにとって、正しい道だ」と述べた。

 

 欧州の石油メジャーは2050年をめどに温室効果ガス削減目標を打ち出すところが増えている。ノルウェーのエクイノールは今月6日、自社の供給網から生じるエネルギー1単位当たりの温室効果ガス排出量を、2050年までに5割超削減すると宣言した。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルも、自社が販売する製品の消費で生じる分も含め、温暖化ガスのネット排出量を50年までに半減させる目標を掲げている。ただ、温暖化対策に懐疑的なトランプ政権の下のExxon Mobilや シェブロン等の米メジャーの動きは鈍い。

 

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bernard-looney-announces-new-ambition-for-bp.html?utm_source=BP_Global_GroupCommunications_UK_external&utm_medium=email&utm_campaign=11305262_BP%20sets%20ambition%20for%20net%20zero%20by%202050%2C%20fundamentally%20%20changing%20organisation%20to%20deliver&dm_i=1PGC,6QB72,N7U5ZM,QVQPU,1