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英豪資源大手リオ・ティント。2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロ目標。30年目標達成は経営層の報酬に連動。資源利用の産業界とのパートナーシップ推進(RIEF)

2020-03-03 12:46:24

Rio2キャプチャ

 

 英豪資源大手リオ・ティント(Rio Tinto)は2050年までに同社の事業活動からの温室効果ガス排出量をネットゼロとし、中間目標として2030年までに18年比で30%削減(排出係数ベース)、15%削減(絶対排出量)を設定した。目標達成のため、今後5年間に10億㌦(約1090億円)を投資。現在から2030年までの排出量はゼロで維持するとする。目標達成を確かにするため、実績を経営層の報酬に連動させる制度も導入した。

 

 Rio TintoのCEOのJ-S Jacques氏は「気候変動はグローバルな挑戦であり、国を超え、産業を超えて、社会全体で取り組まねばならない。新たな技術やパートナーシップ、効果的な政府の政策等がこの問題のゴールを達成する上でのカギとなる。ただ、現時点では、2050年までの明確な道筋は示されていない」と述べ、目標達成が容易ではないことを強調した。

 

 同社の従来の削減目標は、2020年までに2008年比で24%削減(排出係数ベース)だった。これを2030年の中間目標と、2050年のゼロ目標に置き換える。新目標は同社の「気候レポート」に明記された。同レポートはTCFD提言に沿って、2050年ゼロ排出を達成するため、4分野についての対策を盛り込んでいる。

 

Rio Tintoの2050年ゼロへの道
Rio Tintoの2050年ゼロへの道

 

 ①同社が主要生産物とするアルミニウムや銅、高品質鉄鋼石等の生産でのCO2削減を進める移行対策の推進②鉱物生産でのカーボンフットプリントの削減③バリューチェーン全体を通じてカーボンフットプリントを削減するためのパートナーとの協力④物理的気候リスクへの強靭性の促進ーーの4分野だ。

 

 このうち②については、すでに2月にオーストラリアのPilbaraでのKoodaideri鉱山に1億㌦を投じて太陽光発電設備の設置を決めている。Pilbara地区では操業用の電力を確保するためリチウム電池の蓄電システムを整備しており、他地区でも同様の対策を進めていく。 

 

 また気候変動との闘いは、官民連携での対応が必要との判断から、③の具体例として、昨年9月に中国の鉄鋼大手の宝鋼業集団(Baowu Steel Group)、清華大学とパートナーシップを結んでいる。同パートナーシップでは鉄鋼業のカーボンフットプリント削減を進める技術システム開発を目指す。アルミニウム精錬でも、2018年に大手のアルコア、カナダ政府、キュービック州政府等と連携、低炭素の技術開発を進めている。同連携には米Appleも参加している。

 

 ④の物理リスク対応としては、同社が操業等で使用する電力の76%はすでに再生可能エネルギーに切り替えている。CO2削減に加えて、災害時の電力安定供給につなげているとしている。鉱山・工場等の各サイトの強靭性の強化についても力を入れ、操業システムのデザインから閉山までを通じて、自然災害増大対応を盛り込んでいくとしている。

 

 新たに設定した目標のうち、2030年目標は、経営層の報酬と連動する。「CEO短期インセンティブ計画(The chief executive’s Short Term Incentive Plan)」を導入。2030年目標と連動する気候戦略の実施を対象とし、CEOから執行委員会、その他のシニアクラスのメンバーまでを含めて、実績連動の報酬システムとする。

 

 Rio Tintoは2008年に最初に気候変動目標を導入。同年から2019年末までに温室効果ガス排出量を46%削減してきた(投資引き揚げ分を除くと18%)。また排出係数は29%削減している。

 

https://www.riotinto.com/news/releases/Rio-Tinto-to-invest-1-billion-to-help-meet-new-climate-change-targets

https://www.riotinto.com/sustainability/climate-change