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福島・浪江町、世界最大規模の再エネ利用水素製造施設「FH2R」完成。7日に開所式。水素製造量10MW。東京にも、オリンピックにも供給へ(RIEF)

2020-03-07 16:26:08

Nedo1キャプチャ

 

  福島県浪江町で建設されてきた太陽光発電を活用した世界最大規模の10MWの水素製造施設が完成、7日に開所式が開かれた。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が東芝エネルギーシステムズ等と取り組んできた。正式名称は「福島水素エネルギー研究フィールド(Fukushima Hydrogen Energy Research Field (FH2R))」。製造した水素は、圧縮水素トレーラー等を使って福島県内や東京都などへ供給する予定で、東京オリンピックでの使用も想定されている。

 

 NEDO、東芝エネルギーのほか、東北電力、岩谷産業が連携した。東京電力福島第一原発事故で空き地となった浪江町の18万㎡の土地に20MWの太陽光発電設備を設置。その電力を用いて、10MWの水素製造装置で水の電気分解を行う。生産される水素量は毎時1200N㎥(定格運転時)。https://rief-jp.org/ct10/98960

 

上空からみた設備。周辺の太陽光発電で発電する
上空からみたFH2R。周辺の太陽光発電で発電する

 

 「原発被災地」から未来の「水素社会」への転換の象徴でもある。浪江町では5日、2050年までに町でのCO2排出量「実質ゼロ」にすることを目指すと宣言している。今後、水素を活用した町づくりを進めるとしている。東京オリンピック用としては、聖火台と聖火リレー用トーチの燃料などに使う予定。

 

 製造した水素は市場の需要に応じて、貯蔵、出荷される。製造・貯蔵は、再エネの電力系統側制御システムと、水素製造側の制御削システムを連動させて最適化することで、蓄電池を用いることなく水素エネルギーを運用・供給できるという。

 

Nedo2キャプチャ

 

 FH2Rでは、今後、実証運用を行い、運転周期の異なる装置での電力系統のディマンドリスポンス対応と、水素需給対応を組み合わせた最適な運転制御技術を検証する予定。製造された水素は、定置型燃料電池向けの発電用途、燃料電池車や燃料電池バス向けのモビリティ用途などに使用される予定。

 

 水素は電力を大量に長期間、貯蔵でき、長距離輸送が可能。また、燃料電池によるコジェネレーション(熱電併給)や、燃料電池車など、さまざまな用途に利用できる。将来的には、再エネ由来の水素を活用し、製造から利用に至るまで一貫してCO2フリーの水素供給システムの確立が期待される。

 

 政府が2017年12月に公表した「水素基本戦略」では、再エネの導入拡大や出力制御量の増加に伴い、大規模で長期間の貯蔵を可能とする水素を用いたエネルギー貯蔵・利用(Power-to-Gas:PtG)が必要としている。水素を用いたPtGは、出力変動の大きい再エネを最大限活用するための電力系統需給バランス調整機能(ディマンドリスポンス)だけでなく、水素需給予測に基づいたシステムの最適運用機能の確立が必要になる。

https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101293.html

http://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1213881_1049.html