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熊本・水俣市、JNC、JFEエンジニアリングと協働。水力発電の「CO2排出係数ゼロ」電力を市内施設に供給(RIEF)

2020-07-31 15:26:21

JNC001キャプチャ

 

 熊本県水俣市は8月から、JFEエンジニアリング(東京)、JNC(同)と連携し、県内に流れる球磨川流域等での水力発電からの「CO2排出係数ゼロ」電力を市内の小中学校など15の施設に導入を始める。旧チッソの化学メーカーJNCが県内で運営する水力発電のうち6カ所の電力を利用し、再生エネルギーの地産地消を進め、地域に立脚した持続可能な開発目標(SDGs)取り組みとする。

 

 (写真は、球磨川流域にあるJNCの内谷第2発電所)

 

 水俣市は、第6次水俣市総合計画(2019年度~2026年度)で、市が目指す将来像を「みんなが幸せを感じ 笑顔あふれる元気なまち」を掲げている。国連のSDGsに基づく「持続可能な地域社会づくり」の達成のため、経済、社会、環境の三側面の統合的取組みによる自律的好循環を生み出すことで、その実現を目指すとしている。

 

活用するJNCの水力発電所群
活用するJNCの水力発電所群

 

 旧チッソの化学会社JNCが県内で運営する水力発電所のうち6カ所の電力を自営線により送電し、JNC水俣製造所で消費した後、余剰電力の一部を水俣市内の公共施設に供給する。電力需給管理や渇水期の電力不足時の補填等は、JFEエンジニアリングの子会社のアーバンエナジー(横浜市)が担当する。

 

 市と2社は2017年度から同スキームによる実証試験を市役所仮庁舎を対象に実施してきた。その結果、電気料金の削減に加えて、非化石証書によるCO2排出係数ゼロの実現も確認できたことで、今回、電力供給先施設を拡大して実施することとした。

 

CO2係数ゼロ電力の主な供給先
CO2係数ゼロ電力の主な供給先

 

 JNCは、機能材料・化学品・加工品の製造等を主業務としている。電力事業では国内に13カ所の水力発電所(最大出力合計9万6900kW)、太陽光発電所を4カ所(同1万6000kW)保有する。1906年創業の曾木電気(旧チッソ)以来、化学品の製造で、水俣市内にある水俣製造所等の主要エネルギー源として自社水力発電所を使用している。

 

 日本の産業公害史上最悪となった水俣病は、水俣工場でアセチレンを原料としたアセトアルデヒド、酢酸、塩化ビニル等の製造に伴う工業廃水を無処理で水俣湾に長年排出したため、食物連鎖を通じて周辺住民にメチル水銀中毒を発生させた。いわば、「水を汚した」ことによる被害だった。

 

 今回は、水の発電力を活用して、市民社会の電力をまかない、地球温暖化の防止にも貢献しようということで、「水を生かす」ことになるともいえる。

 

https://www.jfe-eng.co.jp/news/2020/20200728_2.html

https://www.jnc-corp.co.jp/news/2020/sdgsco2.html