HOME5. 政策関連 |環境省「再エネ100%水素ステーション事業」、「再エネほぼゼロ」も含め事業の8割で再エネ不足。補助金の交付条件満たさず。会計検査院が指摘。補助金詐取の疑いも(各紙) |

環境省「再エネ100%水素ステーション事業」、「再エネほぼゼロ」も含め事業の8割で再エネ不足。補助金の交付条件満たさず。会計検査院が指摘。補助金詐取の疑いも(各紙)

2020-10-08 12:30:32

suiso02キャプチャ

 

 各紙の報道によると、環境省が再生可能エネルギーを活用した水素ステーション導入のために補助金を配分していた施設の8割が、水素製造に必要な電力を再エネだけで賄えず、補助金交付の要件を満たしていなかったことが、会計検査院の調べで分かった。検査院は環境省に対し、事業廃止を含めた抜本的な見直しを求めた。再エネをほとんど使っていない施設もあったとしており、「補助金詐取」の疑いもある。

 

 (写真は、各地で建設される水素ステーション開所式のイメージです)

 

 指摘された環境省の事業は、「地域再エネ水素ステーション導入事業」。水素ステーションは水を電気分解して製造した水素を燃料電池自動車などに供給する施設。環境省は脱炭素社会実現を目指すとして、水素製造に必要な電力のすべてを太陽光などの再エネで賄う同施設を対象に、2015年度から設置費用の一部を補助してきた。

 

 18年度までに合計27の自治体や企業に交付した。補助率は41分の3。設置費用は約1億3000万円のため、一カ所当たりの補助金は約1億円となる。

 

 検査院は、このうち、1年以上の稼働実績のある約20カ所を調査した。その結果、対象施設の8割以上で電力を再エネだけで賄えず、補助金交付の要件を満たしていないことがわかった。再エネ比率はさまざまだが、ほとんど再エネゼロのケースもあったという。環境省は同事業でこの3年間に合計約20億円の補助金を支払っていた。

 

 太陽光などの再エネは発電量が天候に左右されるほか、水素製造に使う電力量も気温の影響などを受ける。検査院の調査では、補助金交付を受けた施設では、発電量に対して消費電力量が多くなる事例が散見され、不足分の電力は外部から購入して賄っていたという。

 

 このため検査院は環境省に対して、水素を製造する際に再エネ由来の電力がどの程度必要かの試算が正確にできていないと指摘し、事業の見直しを求めた。同指摘は、対象施設の事業性を環境省が十分に把握しないまま、補助金を交付していたことを浮き彫りにしている。

 

 検査院の指摘を受けて、環境省は2020年度以降の新規採択を停止した。同省は「事業者側からデータを集めて判明した課題を踏まえ、水素ステーションのあり方を検討したい」としている。これまで配分した20億円を回収するかどうかは明言していない。

 

 環境省は2020年度までに再エネ水素ステーションを100カ所ほど整備する目標を掲げてきた。目標達成を優先して、実際の運用面でのチェックが疎かになっていたとの見方もできる。役所の補助金行政にありがちなパターンでもある。

 

 同省によると、現時点で設置数は全国に30カ所。次世代自動車振興センター(東京)によると、再エネを使わない水素ステーションは8月時点で全国133カ所が運用されている。しかし、水素を利用する燃料電池車の普及は、19年3月末で約3000台にとどまっている。目標とする2020年度4万台に遠く及ばない。

https://www.jbaudit.go.jp/index.html

https://digital.asahi.com/articles/ASNB766NVNB6UTIL01R.html

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201008&ng=DGKKZO64741720X01C20A0CC1000