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英政府、「2050年温室効果ガス排出量ネットゼロ」目標達成のため、新たな国営インフラ投資銀行(NIB)を設立へ。グリーンバンクの復活との期待も(RIEF)

2020-11-24 08:16:18

UKT001キャプチャ

 

 英政府は、2050年温室効果ガス排出量ネットゼロ実現に向けて、再生可能エネルギー事業等のインフラ整備のため、来年中に「国営インフラ銀行(NIB)」を設立することを明らかにした。新銀行は、再エネ投資のほか、公共輸送機関、デジタル網整備等で、今後5年間で総額6000億ポンド(約84兆円)のインフラ投資を展開するとしている。

 (写真は、国営インフラ銀行を打ち出した蔵相のRishi Sunak氏)

 英国が新たに国営銀行を設立するのは、EU離脱に伴い、広州投資銀行(EIB)からのファンディングを期待できなくなることも理由としている。NIBは「ネットゼロ」公約を実現するためのインフラ投資を重点的に実施する方針で、2012年に世界で初めて設立したグリーンバンク(グリーン投資銀行=GIB)の復活版ともいえる。http://rief-jp.org/ct6/104881

 NIBが主に投資対象とするインフラ事業は、再エネのほか公共輸送機関、デジタル・コネクティビティとしている。また新銀行は、金融機関が集中するロンドン・シティではなく、イングランド北部に拠点を置く予定という。これは新型コロナウイルス感染の影響で、一極集中型の都市機能の弊害が露呈したこと等を踏まえた措置とみられる。

 英国ではインフラ事業へのファイナンスにも民間金融機関の取り組みが進んでおり、NIBは民間金融機関との協働も進める。2012年に設立したグリーン投資銀行(GIB)は、わずか5年間で民営化し、マッコーリーグループに売却された。だが、NIBはグリーンバンクが対象としたグリーン事業へのファイナンスが中心になることから、GIBの復活とも指摘される。

 蔵相のRishi Sunak氏は「インフラ投資は、英国がウイルス感染からの、より良き、よりグリーンな回復と発展をするうえでのキー・ドライバーとなる」と期待をかけている。

 日本も菅政権が「2050年ネットゼロ」を掲げた。目標実現を担保するための投資資金を確実に確保するには、日本版のインフラ投資銀行あるいはグリーンバンク設立という選択肢の検討も必要だろう。あるいは現行の日本政策投資銀行をグリーン銀行化する手もある。

https://www.gov.uk/