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韓国、世界最大の洋上風力発電事業の建設にゴーサイン。発電量は全体で8.3GW。現在の最大発電所の7.4倍。韓国版「グリーンニューディール」の軸に(RIEF)

2021-02-07 21:37:16

Korea0003キャプチャ

 

 韓国は南西部の黄海に面した新安(シナン)郡の海上に、世界最大の洋上風力発電設備を2030年までに建設すると発表した。発電量は全体で8.3GWで、一カ所での発電所としては現在、世界最大の英北海での洋上風力発電より7.4倍も規模が大きい。総事業費は48兆5000億ウォン(約432億㌦=約4兆5000億円)。大半を民間資金でカバーする。文在寅大統領は「韓国版グリーンニューディール」の軸となる事業と位置付けている。

 

 (写真は、新安洋上風力プロジェクトの署名式で演説する文在寅大統領)

 

 巨大洋上風力発電所の建設予定海域は、全羅南道の南西部にあるは新安群の沖合。同地は小さな島々が約1000個も点在する自然豊かな地域。洋上風力発電設備は、同地の沖合に設置する予定。建設は官民連携で推進し、 韓国電力公社(KEPCO)のほか、SK E&S、Hanwha E&C、Doosan Heavy Industries、CS Wind、Samgang M&T等が計画に参加することが決まっている。今後環境アセスメント等を実施する。

 

世界最大の洋上風力発電設備になる韓国の新安プロジェクトの建設予定地
世界最大の洋上風力発電設備になる韓国の新安プロジェクトの建設予定地

 

 文大統領は現地で行われた署名式に出席、同風力発電事業を、2050年までのカーボンニュートラルを実現する「韓国版グリーンニューディール(K-Green New Deal)」のシンボル事業と位置付けている。同事業ではクリーン電力の発電だけでなく、2030年までに5600人の雇用を創出効果が期待されている。

 

 韓国は日本同様、石炭火力への依存度が高い。原発については原則廃絶を宣言し、今後の依存度は低下する方向。その中で2050年ネットゼロを実現するためにグリーンニューディールを立ち上げている。同事業では、グリーン化に加えデジタル化技術への投資に今後、1350億㌦(約14兆円)の投資をし、太陽光発電と風力発電を合わせた再エネ発電量を現状の12.7GWから2025年までに約3.7倍の42.7GWに引き上げる計画だ。

 

 再エネ発電量はさらに2030年までに60GWに引き上げる予定としている。洋上風力発電は、そのうち12GWをカバーする予定。ただ、現在の洋上風力発電量は98MWで、1GWの100分の1にも満たない。したがって、今回の新安プロジェクトのウエイトは大きい。

 

「2050年ネットゼロ」のカギを握る洋上風力発電事業
「2050年ネットゼロ」のカギを握る洋上風力発電事業

 

 韓国は、今回の新安プロジェクトを軸に、30年までに洋上風力発電量では世界5指の一角に入ることを目指している。日本の経産省も2030年までに洋上風力発電を10GW新設する方針を出している。一方で、原発については再稼働、新増設を促進する姿勢だ。韓国は2034年までに原発による発電量を半減させるとしており、原発政策での姿勢は日韓で異なる。

 

 同プロジェクトの総事業費の40兆5000億ウォンのうち、大半の 47兆6000億ウォンは、KEPCOやSK等の民間事業者がカバーし、政府の拠出分は9000億ウォンの予定という。


 文大統領は「現在、コロナウイルス問題で大変だが「新型コロナウイルス感染で疲れた人々を鼓舞するニュースを提供できることを嬉しく思う。この地で開発される風力発電所での発電量の8.3GWは、原発6基分に匹敵すると同時に、ソウルと仁川の両都市の全世帯の住民に電力を供給できる規模だ」と述べ、同発電所の存在感の大きさを強調した。

  https://www.reuters.com/article/us-southkorea-energy-windfarm-idUSKBN2A512D

https://www.industryleadersmagazine.com/sinan-offshore-wind-farm-worlds-largest-to-be-built-in-south-korea/

https://www.4coffshore.com/windfarms/south-korea/sinan-96-phase-one-south-korea-kr74.html