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バンコク会議のNGO報告会を開催(WWF Japan)

2011-04-21 21:15:55

2011年4月3日から8日までタイのバンコクで開かれた、気候変動枠組条約の特別作業部会(バンコク会議)の報告会を東京で開催しました。これは実際に会議に参加したWWFを含む日本のNGOスタッフによる報告会です。バンコク会議は、これからの世界の温暖化防止のゆくえを左右する、年末のCOP17に向けた重要なステップ。会場には、産業界、報道機関、大学・研究機関などの約60人が集まりました。

求められる「カンクン合意」の進展


バンコク会議は、6月に予定されているドイツ・ボンでの会合とあわせて、「カンクン合意」の中身の進展をより具体的に進めて、2011年末の南アフリカ・ダーバンでの第17回締約国会議(COP17)での合意を目指す一つの重要なステップとなる会議です。

今回の会議では冒頭、先進国と途上国の削減目標・削減行動についてのワークショップが開催され、各国が自主的にカンクン合意に提出した目標の詳細が明らかになりました。また同時に、各国の削減目標や削減行動は、気候変動の脅威を抑制するためには不十分であることを、大きな課題として再認識することになりました。

その後、京都議定書と気候変動枠組み条約の特別作業部会(AWG)の会合が開かれましたが、結果としてほとんど進展無く終わりました。一方で、長年先送りされてきた問題点である「京都議定書の第2約束期間について」の途上国の焦燥感が鮮明に反映された会議となりました。

福島第一原発の事故への関心





報告会の質疑応答では、福島第一原発の事故が国際交渉にどんな影響を与えるかについても、複数の方からご質問がありました。もちろん、事故のこと自体が国際交渉の場で話し合われる訳ではありません。
しかし、「カンクン合意」の中で各国が自主的に掲げている削減目標に、今回の原発事故が何らかの影響を与える可能性はあります。

現時点ではわかりませんが、国内政策で、CO2の排出削減策を、原発に大きく頼っているような国においては、設定する削減目標の数値に見直し論が出るかも知れないからです。その時に、温室効果ガスを大量に排出する火力発電に頼って目標を下げるのか。ほとんど排出しない再生可能エネルギーの拡大と低炭素社会を目指すのか。温暖化という地球規模の危機を回避する上で、どちらの選択肢を取るベきなのか、その答えは明らかです。

問われる日本の姿勢


WWFジャパン気候変動担当の山岸尚之は最後に、こう発言しました。
「東日本大震災後のこの状況下では、「長期的な地球温暖化問題の議論は後で」という雰囲気が国内にあるのは仕方ないかも知れません。

しかし、経済的に貧しい国が真っ先に被害を受ける地球温暖化という問題に、「自分たちが大変だから」といって背を向けるのが、日本が目指す復興なのでしょうか。

日本のリーダーたちには、「それは違う」と答えて欲しい。震災後、貧しい国も含めて多くの国が、日本に支援の手を差し伸べてくれました。その気持ちに、日本はどう応えるか。
ダーバンに向けて、その姿勢が試されると思います」。

日本が掲げる「2020年に25%削減」という目標を下げることなく、どうやったら、原発に頼らずに、再生可能エネルギーと省エネによる低炭素社会を実現できるのか。
今こそ、政府、産業界、市民が、真剣に考え、行動しなければなりません。

報告会の配布資料および動画はこちら


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