HOME5. 政策関連 |宮崎県、九電の再エネ発電接続停止を受け、高校の屋根貸し太陽光発電の公募を中止。経産省が”演出”する「政策リスク」の影響広がる(FGW)  |

宮崎県、九電の再エネ発電接続停止を受け、高校の屋根貸し太陽光発電の公募を中止。経産省が”演出”する「政策リスク」の影響広がる(FGW) 

2014-10-01 15:49:14

miyazakikenキャプチャ
miyazakikenキャプチャ宮崎県は、九州電力が太陽光など再生可能エネルギー発電設備の電力系統への接続を事実上停止したことを受け、8月から計画を勧めていた「県立学校施設屋根貸し太陽光発電設備設置事業」の募集を中止すると発表した。

宮崎県は、県内にある県立高校の施設50棟の屋根を民間事業者に賃貸しして、太陽光発電事業を行う計画を立てた。すでに、8月25日~9月末にかけて、現地説明会および調査を実施し、今月日から希望する事業者からの提案書を受け付けることになっていた。

しかし、九州電力が再生可能エネルギー発電の買い取りを事実上ストップする接続申し込み延期を決めたことから、現時点で県の事業を進めることが困難と判断した。件はこれまで事業化を目指して現地調査などに参加した事業者に対して「大変残念な結果ではあるが、募集を中止する」ことを知らせた。

 

今後については、完全断念とはまだ決めておらず、九電の動向を注視し、「改めて当該事業の実施を検討していきたい」としている。

 

再生可能エネ発電は、発電コストが従来の化石燃料発電より高いことから、固定価格買取制度(FIT)などの政策支援で、事業化を促し、研究開発と発電コスト低下を促進するという政策に基づく。しかし、その政策が急に変更されたり、停止h・廃止される「政策リスク」を常に抱えている。

 

今回の九電の接続停止は、他の電力にも広がっている。FIT導入に際しては、発電された再生エネ電力を、スムーズに既存の送電網に接続できるよう、政策面での対応が必要なのは自明だ。ところが、経済産業省は、送電網の強化を各電力会社に指示せず、一方で、再エネ発電事業の認可は”乱発”の形で積み上げた。起こるべくして起きた問題といえる。

 

こうした政策のミスによって再生可能エネ発電が支障を来たすことを、事業者が直面する「政策リスク」と呼ぶ。経済産業省がこうしたリスクを認識していなかったとすれば、あまりに稚拙だ。だが、実はそうではないだろう。経産省は、再生エネ発電より、原発再稼動を優先する基本方針を堅持している。そこで、再生エネ推進に課題があることを浮き上がらせ、「だから原発再稼動」という世論を喚起しようとして、今回の接続拒否問題を”演出”したのではないだろうか。

 

電力各社の接続拒否の動きを受けて、再生可能エネ事業の見直しや事業化の延期を図る動きは、宮崎県以外でも各地で広がりそうである。再生可能エネ事業は、アベノミクスの数少ない「第三の矢」の一つになりそうとみられていたのに、原発再稼動に固執する安部政権は自分で自分の政策の裾を踏み、国全体の危機に追い込もうとしているように映る。