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再生エネ発電買い取り制度”破綻” 「経産省の制度設計に失敗」(東京)

2014-10-16 13:05:16

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FITPK2014101602100068_size0経済産業省と有識者委員会は十五日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の抜本見直しを本格的に議論し始めた。

経産省は同日、有識者による新エネルギー小委員会(経産相の諮問機関)に大規模太陽光発電所(メガソーラー)の認定を凍結するなどの素案を提示、再生エネの拡大策の柱となってきた買い取り制度は開始からわずか二年で破綻が明らかになった。制度設計など準備不足が露呈した格好で、委員たちからは「制度に問題があったことは認めなければならない」との指摘が相次いだ。 (吉田通夫)

 


 経産省は再生エネ拡大策が太陽光に偏ったとして、風力や地熱による発電の環境影響評価(アセスメント)に必要な期間の短縮や、買い取り価格の見直しも検討課題として提示した。

 




 九州電力など大手電力五社が送配電網の不足を理由に発電業者からの買い取り手続きを中断している問題については、十六日から別の専門部会で受け入れ可能量の検証や受け入れ拡大策を検討する方針を説明した。

 




 見直し策は年内に方向性を出す。

 




 委員の松村敏弘東京大学教授は「(政府が)制度設計に失敗したのは(小委員会も含め)反省すべきだ」と指摘した。佐藤泉弁護士は「制度改善してもまた中断されるのでは、との疑念を発電業者から持たれ、信頼回復は容易ではない」として、「不安を抱える事業者に、早く今後の道筋を示す必要がある」と話した。

 




 制度見直しに向けては、経産省側が再生エネの導入と電気料金の上昇について試算し、どこまで負担を引き受けるか国民にアンケートする案を紹介。これに対し、委員の消費生活コンサルタント・辰巳菊子氏が「再生エネだけが高いと思われかねない」として、廃棄物処理なども入れれば実際は高コストとされる原発も含めたエネルギー全体の構成比率と電気料金を試算するよう求めた。

 




 固定価格買い取り制度は民主党政権時の二〇一二年に開始、再生エネ拡大のきっかけとなったが、政権交代した自民党が原発重視に転換。再生エネを受け入れるための送電網の強化策や自然条件で一時的に発電量が増え過ぎる場合の出力抑制策、買い取り価格の適正化など全体的な制度設計は停滞してきた。再生エネの発電事業者らは「原発依存に回帰するのでなく、再生エネの導入機運がしぼまないようにしてほしい」(東京都内の太陽光発電業者)と議論を注視している。

 




<再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度> 太陽光、風力、中小規模の水力、地熱、バイオマスの5種類の発電を、国が決めた価格で買い取る制度。買い取りにかかった費用は「賦課金」として電気料金に上乗せされ、家庭や企業などすべての電力利用者が負担する。

4月からの買い取り価格は、企業などが設置する大規模な太陽光発電は1キロワット時当たり32円、風力は22円などとなっている。太陽光の方が高いことや参入への技術的ハードルが低いことから、太陽光に人気が集中、政府の認可件数の9割を占めている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014101602000134.html