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主要企業の再生エネ投資、2015年度伸び率9%増と今年度の3分の1に鈍化へ。日経調査で判明。経済産業省のFIT政策の混迷が影響(FGW)

2015-01-25 13:49:23

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企業はメガソーラー事業に一気に慎重に
企業はメガソーラー事業に一気に慎重に


sしかく 経済産業省が担当する再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の運営が昨年、混乱したことを受け、企業の再エネ発電への投資意欲が一気に慎重に転じている。日本経済新聞社の第18回環境経営度調査で分かった。アベノミクスの「第三の矢」の有力市場とみなされる再エネ市場だが、政策リスクの顕在化で失速しかけている。

 

日経の調査は、毎年実施している。このうち主要企業200社に対して、再生可能エネルギー発電事業への投資意欲(計画分を含む)を聞いたところ、2015年度末では累計約752万キロワットで、14年度末比の伸び率は9%増だった。14年度末の伸び率(見込み)は28%増と比べると、3分の1の伸び率にとどまり、急失速しかねない状況だ。

 

企業が再エネ投資に慎重になりつつあるのは、投資の約9割を占める太陽光発電(企業向け)の買い取り価格が、2015年度はkWH当たり20円台後半と、3年前の同40円から約30%も下がる見通しとなっていることが大きい。太陽光パネル等のコストダウンで20円台後半でも採算はとれるとみられるが、今後の買い取り価格がどうなるのか、経済産業省のさじ加減次第というFIT制度の構図が明確になったことから、政策リスクへの懸念が投資意欲をそぐ格好になっているようだ。

 

日経の調査は2014年8~11月に実施。製造業と非製造業の上場企業を中心に計726社から回答を得た。企業の発電能力は経産省に申請する設備認定をベースとしており、稼働済み設備では主要約200社の再生エネ発電能力は国全体の約3割を占める。

投資の伸び率は鈍化する見込みだが、15年度の新規計画全体の発電量は約64万kWで、原子力発電所の1基分弱の発電が再生可能エネ発電に代替されることになる。ただ、14年度は約151万kW増えたことを考えると、大幅に減額される見通しだ。投資額は6%増の4010億円。

 

「ゼロ原発」の回答が、原発推進回答をわずかに上回る

 

調査では、企業に2030年時点で総発電量に占める望ましい原発比率についても聞いた。その結果、「15%程度」が21%と最も多くなり、次いで「10%程度」が19%だった。一方で、「ゼロ」という回答も11%あった。電力会社が目指す震災前と同水準の「30%程度」を支持する回答は10%にとどまり、企業ベースでも「ゼロ原発」の回答のほうがわずかに上回った。