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経産省 再生エネ発電買い取り、小規模業者は拒否可能に制度修正へ。電力小売り全面自由化後。市場シェアで線引き案(各紙)

2015-07-23 17:51:14

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各紙の報道によると、経済産業省は、現在、固定価格買取制度(FIT)で電気事業者に義務付けている再生可能エネルギー発電の電力買取義務を、2016年4月の電力小売り全面自由化後に小売業務に進出する新規事業者のうち小規模事業者については、買い取りを拒否できる制度を導入する方針という。

 経産省の方針は、小規模事業者に過大な買い取り義務を負わせると、資金繰りなどに影響が出て、市場参入へのインセンティブが低下する可能性があるためとしている。今後、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の専門委員会で議論し、買取を拒否できる事業者の条件などを決める。条件の候補の一つには一定の市場シェアで線引きする案もあがっているようだ。今秋にも関係省令を改正する。

 

 経産省は大手電力に対しては、実質的にこれまでと同じ全量の買い取りを義務付ける方向だという。ただ、大手電力相互間の参入も予定されており、市場シェアの対象地域の線引きも現状のままでいいのか、吟味が必要になる。

 

 逆に、再エネ事業者が小規模事業者への売電を避ける動きが広がると、これはこれで市場自由化の成果をしぼめてしまう可能性もある。買取拒否は小規模事業者にとってメリットのようで、事業拡大を想定すると、安定的に電力を確保するうえでの障害になるリスクもある。これらの課題をバランスさせた制度を仕組めるかが問われる。

 

 2012年に始まった再生エネ電力の買い取り制度は、大手電力と、新規事業者に再生エネでつくる電気の買い取りを義務付けたが、このうち大手電力は全量買い取りを義務付けているが、新規事業者は買い取りを拒否できるとしている。ただ、全面自由化後は新規事業者も大手電力と同じ小売事業者に一元化されるため、買い取りを断れなくなる可能性がある。

 

 14年度の工場など大口向け販売電力量に占める大手電力以外の新規事業者のシェアは5%程度。小規模な事業者のシェアはまだ小さいが、来年から家庭向けも含めて電力小売りが全面自由化されることで参入増が期待されている。

 

http://www.meti.go.jp/