HOME5. 政策関連 |電力取引監視委員会発足 来春からの電力小売全面自由化を睨む。大手電力と新電力の公正な競争条件確保を目指す(各紙) |

電力取引監視委員会発足 来春からの電力小売全面自由化を睨む。大手電力と新電力の公正な競争条件確保を目指す(各紙)

2015-09-02 13:28:10

denryokukanshiキャプチャ

  電力小売全面自由化を踏まえ、経済産業省は電力取引が適切に行われているかをチェックする「電力取引監視等委員会」を1日、発足させた。

 電力監視委は発電事業者と販売事業者等の取引において、適正な価格交渉が行われているかどうかなどを監視し、悪質と判断した場合、業務改善勧告を発したり、法的拘束力のある行政処分を経産相に勧告することができる。金融市場のインサイダー取引等を監視する証券取引等監視委員会と同様の役割が期待される。

 

 監視の対象は、既存の大手電力も含む。特に、小売市場自由化に際して、新規参入する事業者に対して、送電網を持つ大手電力が自社グループの販売会社よりも、新規事業者に不利な条件をつける可能性があるためだ。大手電力に対しては抜き打ち監査の実施も検討している。

 

 監視委のメンバーは、委員長に電力問題の専門家である八田達夫氏(アジア成長研究所所長)が就任したほか、弁護士、公認会計士、学者など、電力業界以外の有識者で構成する。八田委員長は「競争環境をきちんと監視し、日本の電力供給体制が世界に誇れるものにしていく」と述べた。

 

 denryokukanshiPK2015090202100045_size0

 

 監視委は、電力事業者間の取引の適正性だけではなく、利用者と事業者の間で生じたトラブルの仲裁なども行う。また、専門会合を設置して、大手電力が決めた送電利用料(託送料金)が適切かどうかの審査や、利用者が小売業者を選ぶ際の情報開示義務のあり方についても議論していくという。

 

 八田委員長は「全面自由化で積極的な事業者間の競争が始まるが、独占的な地位の大手電力会社が新規参入を抑圧しては困る。既得権のある電力会社にも新電力にも、まったく公平な環境にしていく」と指摘している。