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農水省 来年度から、再生可能エネルギーで電力小売り参入を目指す農家などに補助制度導入へ。上限1500万円、予算要求。農家だけへの補助は公平か(?)(各紙)

2015-09-06 14:11:39

agrisolarプチャ

 各紙の報道によると、農林水産省は2016年4月の電力小売り全面自由化に向け、農家が自治体や企業などと連携して小売事業に参入する際の補助制度を来年度予算要求に盛り込むという。

 対象となる事業は、バイオマスや太陽光など再生可能エネルギーによる発電事業で、事業開始前に必要なフィージビリティスタディ(事業化調査)等の費用について、1件当たり1500万円程度を上限に支援する考えという。

 

 来年4月からの電力事業自由化に向けて、地域の自治体や農家の間では、新電力会社を立ち上げるために協議会を設立する動きがあり、新補助金制度はこうした活動を支援する。農村地域では、農産品の加工場などの屋根を使った太陽光発電や、家畜の糞などを活用したバイオガス発電等が想定される。

 

 こうした地産地消型の発電事業ができれば、農家自体の使用する電気代が安くなるほか、余った電力を売却することで売電収入が得られる。また、遊休農地の有効活用、牧畜業で課題となっている廃棄物処理にも資する利点もある。

 

 農水省では、固定価格買い取り制度(FIT)導入後、全国の農村地域で、大手事業者による大規模太陽光発電所(メガソーラー)などが設置される一方、中小・零細農家による取組みが限られていることから補助金制度で、農村地域に根差した再エネ発電を普及したい考えのようだ。

 

 ただ、発電事業は農業そのものではないことから、農家中心のプロジェクトにだけ国の補助金を供給することに、他の事業者からの不満が出る可能性もある。また、売電した場合、最終的には消費者が補助金分も負担することになることから、自由化で電力価格が十分な低下が見込めないと、消費者からの不満も出てきそうだ。

 

 農業政策における再エネ発電の位置づけ、電力供給サイドと消費サイドの公的支援のバランス等を踏まえた制度作りが必要だろう。