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環境省 自然環境の経済価値、金額に換算評価手法開発へ(毎日)

2015-09-07 20:30:37

shizenkachiキャプチャ

環境省は来年度から、砂浜や河川など、さまざまな自然環境の経済価値の試算を本格化させる。これまでの試算は、サンゴ礁と湿原・干潟のみにとどまっていた。実感しやすい金額という指標を示すことで、国民に自然環境や生物多様性の価値を再認識してもらい、保全に対する意識の向上につなげたい考えだ。

 

 この分野の経済価値評価は、手法が確立していなかったため、各国で進んでこなかった。しかし、名古屋市で2010年に開かれた、国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で保全に関する国際目標を採択したのを機に、研究成果が出始めている。

 

地球環境戦略研究機関の小嶋公史上席研究員によると、食料など自然が生み出す商品や観光資源としての価値、災害による被害の軽減効果などを組み合わせて算出するという。

 

 環境省はこれまでに、国内にあるサンゴ礁は観光や波浪被害の抑制などで総額年2500億円以上、湿原・干潟は水質浄化機能や食料提供などにより最大で総額年1兆5800億円の価値があるとの試算結果を公表している。

 

来年度以降は、砂浜や河川、国立公園の保全、都市緑化などの経済価値の試算手法を開発する。さらに、モデル地域を選定し、山から河川、海までを一体的にとらえた経済価値の試算にも取り組む。

 

 同省生物多様性施策推進室の担当者は「日本は古くから水や緑に恵まれ、自然は無償で無限にあるものという考え方が一般的だ。金銭的な価値を示すことで、大切さを理解し、開発や保護活動の判断基準にしてほしい」と話す。

 

 有村俊秀・早稲田大教授(環境経済学)は「欧米では政策を検討する際、経済価値を参考にすることが一般的になってきている。試算により、政策の優先順位をつけることも容易になる」と指摘する。【渡辺諒】

http://mainichi.jp/feature/news/20150907k0000m040118000c.html?fm=mnm