HOME5. 政策関連 |経産省、高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題で「海底処分場」の設置を目指す(RIEF) |

経産省、高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題で「海底処分場」の設置を目指す(RIEF)

2016-01-27 16:30:49

nukehaikiキャプチャ

 

   経済産業省は原子力発電所の使用済み核燃料の再処理に伴う高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場を、日本周辺の沿岸部の海底地下に設置する検討を開始した。

 

 26日に「沿岸海底下等における地層処分の技術的課題に関する検討会」を開催した。核のゴミの最終処分場については、2000年から全国公募方式で適地を探してきた。しかし、2007年に高知県東洋町がいったん応募した後、取り下げ、その後、受け入れ自治体は表れていない。そこで昨年5月、政府は国が責任を持って「科学的有望地」を提示する方針を打ち出している。

 

 こうした方針に基づいて昨年12月、総合資源エネルギー調査会地層処分技術ワーキンググループが、中間整理を公表。その中で、「より適性の高い地域」として、「港湾からの距離が十分短いこと(沿岸海底下や島嶼部を含む)」との案が示された。

 

 今回の検討会設置は、こうした中間整理を踏まえて、「沿岸部に関連する事項」の課題を整理することが目的という。検討会は夏ごろまでに課題を整理し、それを受けて経産省は、日本国土を3区分して、最終処分場として科学的に有望な地域を見出す地図を、年内にも国民に提示するという。

 

 沿岸部の海底地下の利点は、平野部の場合は地形がなだらかなので、地震等の際の隆起速度が比較的小さい、地権者との調整が不要などのメリットがある。その半面、陸地と違い、海水流入や津波などの影響、港湾の利用や輸送面との調整、さらに、沿岸域での風評問題などへの対応が必要になるとみられる。

 

 26日の検討会で経産省は「(海底処分場は)さまざまな選択肢の一つとして客観的に情報を整理する」と説明し、海底処分場設置の方向が定まったわけではないことを強調した。

 

 仮に海底地下に最終処分場を作る場合は、廃棄物の海洋投棄を規制する国際条約に抵触しないよう、陸地に地上施設を建設し、海底までトンネルでつなぐ方式が考えられる。研究会は今後、地上施設が津波被害を受けたり地下施設の工事中に海水が流れ込んだり、設置後の水圧対策などの可能性を精査する。

 

 同省は、核燃料再処理工場を建設中の青森県六ケ所村から最終処分場に核のゴミを運ぶには海上輸送が最適とみており、最終処分場は港湾に近い沿岸部への設置が望ましいと考えているようだ。沿岸部においても周辺に火山や活断層がないことなども検討の対象となる。

http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/engan_kaiteika/pdf/001_03_00.pdf