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米EPA、石炭火力発電所の水銀排出に基準(Reuters)

2011-12-23 10:25:04

サザン社の石炭火力発電所(2007年9月4日、米ジョージア州カータースビル)
【ワシントン21日ロイター時事】米環境保護局(EPA)は21日、石炭火力発電所からの水銀排出を抑えるための初の基準を発表した。国民の健康を守ろうとするものだが、閉鎖を余儀なくされる発電所が出てきて職場が失われるとの批判も聞かれる。

 EPAはこの水銀・大気有害物質基準(MATS)の利点を強調し、この基準を実現する上でのコストを上回る利益が得られるとしている。ジャクソンEPA長官は策定までに約20年かかったこの基準を、ワシントン特別区の子ども病院で発表した。水銀は胎児や乳児の神経系に害を与え、また汚染された魚介類を通じて食の連鎖に入り込む。

 同長官は「発達障害とぜんそくなどの呼吸器系疾病につながりのある排出物を減らすことで、この基準は大気浄化と国民の健康の促進での大きな勝利を意味する」と述べた。EPAは今後数年間でこの基準を実施に移したいとしている。

 EPAによると、基準が実施されると業界の年間費用は約96億ドルとなる。この数字はEPAが以前出していたものより10億ドル以上小さいが、EPAはこれは最終規則に付け加えられた「柔軟性措置」によるものだと説明している。

 業界での受け止め方には差があり、原子力、天然ガス、再生可能エネルギーといった「クリーン」エネルギーを多く利用しているエクセロンやネクステラなどの企業は水銀基準を支持しているが、アメリカン・エレクトリック・パワー、サザンといった石炭利用が多い企業は強く反発している。

 EPAは、水銀排出削減技術を用いると微粒子物質の排出も減ることから、MATSによる医療費軽減効果は2016年までに900億ドルに上ると見ている。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011122200404

サザン社の石炭火力発電所(2007年9月4日、米ジョージア州カータースビル)