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大規模太陽光発電設備 環境アセス法の対象に追加へ。環境省、法改正に向け準備。対象施設は100ha以上の見通し(各紙)

2018-07-04 21:36:33

solaryamaキャプチャ

 

 環境省は、森林を伐採して展開する大規模太陽光発電設備について、自然環境や生態系への影響が大きいとして、同事業を環境アセスメント法の対象に含める方針を固めた。現行法では、再生可能エネルギー事業では風力発電事業だけが対象となっており、「環境省なのに、環境チェックができていない」と自然保護団体などから批判が出ていた。

 

 現行の環境アセスメント法は、一定規模以上の火力発電や水力、風力発電などに限って、事業実施前の環境影響評価が義務付けられている。法規制の対象になると、太陽光発電事業者は環境影響の調査や住民への説明が義務づけられる。当面、規制の対象になるのは敷地面積がおおむね100ha以上の施設とみられる。それ以下の小規模なものについても自治体が条例等で独自の規制が出来るようにする方針。

 

 太陽光発電の場合、工場の屋上や空き地などに設置する場合は、大きな環境影響を他に及ぼさないが、最近は森林を大規模に伐採して設備を作るケースが増えている。自然の山野を改変することで、土砂流出の恐れや、自然景観や生態系への影響が高まる。このため、すでに一部の自治体では条例で規制しているところある。

 

 しかしこれまで環境省は、積極的に太陽光発電をアセス法の対象事業に葉取り入れてこなかった。温暖化対策で再エネ事業を普及させることを最優先し、個々のプロジェクトの環境影響については「目をつぶってきた」といえる。しかし、山間部に設置された小規模な太陽光発電施設でも、大雨等で土砂崩れを引き起こし、崩れた発電パネルが道路を塞ぐといった事態も起きているという。

 

 また太陽光発電については、今後、使用済みのパネルが大量に発生することも見込まれる。だが、こうした問題に対しても、これまで環境省は事前に防止する具体策を用意しないまま、「再エネ推進」の旗を掲げてきた。環境問題を引き起こさないためには、事前に環境負荷の可能性をチェックし、負荷減少の事前に手を打つ「予防原則」の国際ルールがある。環境省もこの原則をことあるごとに持ち出すが、自らの政策では「予防」の視点を欠き、今回のように、事態の悪化を待って初めて動き出すという対応でしかない。

 

 環境省は今夏をめどに有識者検討会を立ち上げ、大規模太陽光発電に関する制度を整備する方針だ。