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プルイット米環境保護庁長官、不祥事の続発で、辞任。パリ協定離脱、自動車燃費規制緩和等の「成果」をあげたとして、トランプ大統領は称賛(RIEF)

2018-07-06 12:29:46

Pruittキャプチャ

   各紙の報道によると、トランプ米大統領は5日、スコット・プルイット米環境保護庁(EPA)長官の辞任を受け入れたと公表した。プルイット氏は、地球温暖化懐疑論者で、大統領による「パリ協定」からの離脱を支えたほか、自動車の燃費基準の緩和などで、EPAの環境規制路線を大幅に緩和する役割を担った。ただ、公費の無駄遣いや地位乱用の疑いなどのスキャンダルが噴出、辞任要求が与野党から出ていた。

 トランプ大統領はツィッターで、プルイット氏の辞意を受け入れ、後任が議会で承認されるまで、副長官のアンドリュー・ウィーラー氏が長官を務めると述べた。トランプ大統領は「スコットはEPAで素晴らしい仕事をやってくれた。今後も彼に感謝していくだろう」と付け加えた。

 

 プルイット氏は、エネルギー産業が集まるオクラホマ州の司法長官を務めた経験を持つ。同州長官時代は、オバマ前大統領が推進した石炭火力発電所を事実上廃止するリーン・エネルギー・プラン(CCP)の違法性を主張して訴訟を起こすなど、反温暖化の旗手として名をあげた。温暖化対策に懐疑的なトランプ氏にそうした活動を評価されて、EPAの長官に抜擢、宿敵のCCP廃止にとどまらず、自動車排ガス規制の緩和等、産業界の主張を体言した政策を展開してきた。

 

 しかし、長官就任後、地方視察等の移動に際して、飛行機のファーストクラスを多用してきたほか、多くの疑惑を引き起こしてきた。たとえば、執務室に高額な防音電話ブースを設けたり、側近2人の給与を安全飲料水法の条項を活用して引き上げた、エネルギー産業のロビイストでもある夫人からワシントンにある部屋を一日50㌦で賃借するなど、枚挙に暇のないほどだった。

 

 さらに今週に入って、産業界の代表とひそかに会合を続けていたことを隠していたことが明るみに出た。またプルイット氏の個人的な宿泊予約に際して、EPAスタッフ個人のクレジットカードでの支払いを求めていたこともわかった。これらの不正疑惑については先月時点で、14件の調査が行われていたという。

 

  プルイット氏のEPA長官の就任で、EPAの士気は大きく下落した。退職者も続出した。元EPAのassistant administratorを務めたJanet McCabe氏は「EPAのモラルは非常に低下させられた。この間、EPAは過去に直面したことのない脅威にさらされ続けた」とプルイット氏が環境政策に及ぼした影響の大きさを指摘する。その意味で、トランプ大統領の同氏任命は「成功」したのかもしれない。

   トランプ政権では、これまでに、プライス前厚生長官やシュルキン前退役軍人長官らも公費の不適切な使用で辞任に追い込まれている。