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国土交通省、総務省などの中央省庁が、障害者雇用割合を”偽装”。義務化当初から42年にわたり水増し。割合の低い民間企業からは納付金徴収。「国民を騙す政府」の一例(各紙)

2018-08-17 11:11:23

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 各紙の報道によると、国土交通省や総務省などの10近い中央省庁が、法律で義務付けられた障害者の雇用割合を42年間にわたって水増し、定められた目標を”偽装”していたことがわかった。問題を重視した政府が調査を始めた。障害者手帳を持たない対象外の職員を計算割合に算入していたという。

 

 東京新聞が報じた。問題が発覚したのは障害者雇用促進法に基づく「障害者雇用率制度」。1976年から実施されており、企業や公的機関に一定割合以上の障害者を雇うよう義務付けている。原則として身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳を持つ人や児童相談所などで知的障害者と判定された人が対象だ。

 

 ところが、国土交通省などは、手帳交付に至らない比較的障害の程度が軽い職員などを合算することが常態化していた。省庁側は、拘束時間の長さや国会対応など突発的な仕事が多い特性から採用が進まなかった、と説明しているという。本来の制度の対象外の人数を除くと、実際の雇用率が1%未満になる省庁が多いとみられる。

 

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 各省庁による”偽装”は義務化の当初から恒常的に行われていたという。一方で義務化は民間企業にも適用され、企業が目標を達成できなければ、代わりに納付金などを支払わねばならない。企業には義務化を徹底し、自らは数字を”偽装”して長期間放置するという構図は、「官尊民卑」であるだけでなく、官僚たちが国民を欺いていると言わざるを得ない。

 

 同制度は、本来、国や自治体は民間の模範となるべき、との視点から、非正規従業員を含む常時雇用者の中で法定雇用率を、民間より高い2.5%(3月末まで2.3%)に設定してきた。昨年6月1日時点で、国の33機関で合計約6900人の障害者を雇用し、平均雇用率は2.49%と公表してきた。省庁別でも個人情報保護委員会以外の32機関が当時の目標である2.3%を達成したことになっていた。実際にはこれらの数字がすべて”偽装”だったことになる。

 

 民間企業の場合、従業員が45.5人以上(短時間雇用者は0.5人と計算)いる企業の場合、法定雇用率2.2%を上回ることを求めている。従業員100人超であれば、定められた目標より1人不足すると原則月5万円の納付金が課せられ、企業名を公表されるケースもある。

 

 制度を所管する厚生労働省障害者雇用対策課は「詳細を把握しておらず、事実関係を確認する必要がある」としているという。

 

<障害者雇用率制度> 障害者雇用促進法に基づき、企業や国・自治体などに一定割合以上の障害者を雇うよう義務付けた制度。差別を禁止し、障害者の就労機会を広げる目的がある。従業員全体に占める目標雇用割合を「法定雇用率」として掲げる。当初は身体障害者が対象で、知的障害、精神障害にも拡大。法定雇用率自体も段階的に上げてきた。法定雇用率を達成できていない企業から納付金を徴収、達成した企業に補助金を出す。消極的な企業名は公開されることもある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201808/CK2018081702000148.html