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米カリフォルニア州、上場企業の取締役会に女性登用義務付け法律が成立。来年末までに少なくとも1人は女性役員。違反すると罰金まず10万㌦。以後も毎年30万㌦(RIEF)

2018-10-02 16:13:00

Brown1キャプチャ

 米カリフォルニア州のジェリ-・ブラウン知事は、同州内の上場企業に対して、2020年から、女性の取締役を少なくとも一人は登用することを義務付ける法律に署名した。女性取締役の登用を義務化するのは、全米で初めて。ただ、産業界は反発しており、法的闘争になる可能性も指摘されている。

写真は、法案に署名するブラウン知事)

   成立した法律は、SB826。成立した法律では、2019年末までに、カリフォルニア州の上場企業は取締役のうち少なくとも1人の女性を採用するほか、2021年末までには、取締役の数が合計5人の企業では少なくとも2人、6人以上の企業だと少なくとも3人の女性取締役を置かねばならないことを義務化する。



 同規定には罰則も明記されている。規定に沿った取締役を登用できない場合、まず10万㌦(約1130万円)の罰金を納めねばならない。その後も、規定を満たす対応ができないと、次には罰金額は30万㌦(同3400万円)となり、その後も規定を満たすまで毎年、30万㌦の罰金を払い続けねばならない。

 法律の狙いは、多様な意見を経営に生かし、職場や社会での男女差別やセクハラの抑制につなげることにあるという。人口の半分は女性で、購買力の70%は女性なので、企業の経営に女性の視点を注入することは結果的に企業業績の向上にもつながるという支持の声もある。

 一方で、男性に対して逆差別になるとの反対意見もあるほか、経営陣の登用という民間企業内での重要事項を、州が法的に拘束するのはおかしいとの指摘もある。州内のカリフォルニア商工会議所などを含む30以上の業界団体が反対を表明している。

 ブラウン知事は法律署名後に、「法律への多くの反対があるのは承知している。訴訟が提起される可能性もある。訴訟を覚悟している」としたうえで、「アメリカの人口の半分を占める女性が企業の取締役会に含められるべき時がきた」との声明を公表した。http://www.latimes.com/politics/la-pol-ca-brown-letter-sb826-htmlstory.html

 法案提案者の一人、上院議員のHannah-Beth Jackson氏によると、同州で上場されている企業の4分の1は女性取締役を抱えていないという。同氏は「カリフォルニア州はジェンダーの多様性を企業の取締役会に導入する時を迎えた」と知事の決定を賞賛している。

 同州に本社がある著名上場企業では、フェイスブックやアップルがある。このうちフェースブックは9人の取締役のうちシェリル・サンドバーグ最高執行責任者ら2人、アップルは8人の取締役のうち2人が現在、女性。2021年末までにそれぞれもう一人ずつ女性取締役を登用する必要がある。

 米上場企業指数で有名なRussell 3000の構成銘柄にはカリフォルニアの企業が377社入っており、これらの企業も女性取締役確保が必要になってくる。

 

 女性差別が企業の取締役会だけでなく、大学入試でも露呈している日本の場合、議会も男性が多数を占めているので、こうした法律や条例が提案されるとは思えない。また、多くの企業が女性社員を取締役候補として育成してきていないことから、取締役候補になる女性社員が少ないという実態もあるようだ。ただ、経営に女性の視点が少ないことは、企業にとって「致命的な欠点である」との指摘には、聞くべき耳を持つべきだろう。

http://www.latimes.com/politics/la-pol-ca-brown-letter-sb826-htmlstory.html

https://www.gov.ca.gov/newsroom/