HOME10.電力・エネルギー |環境省、メガソーラーを環境アセスメント法の対象に。景観や住民とのトラブル等に配慮。第一種は出力36MW以上、第二種は32MW以上(RIEF) |

環境省、メガソーラーを環境アセスメント法の対象に。景観や住民とのトラブル等に配慮。第一種は出力36MW以上、第二種は32MW以上(RIEF)

2018-11-06 22:28:23

solar11キャプチャ

 

 環境省は、大規模太陽光発電事業(メガソーラー)を環境影響評価法が定める環境アセスメントの対象に加える方針を明らかにした。景観や環境への影響等をめぐり、立地地域で住民トラブルなどが起きる事例が起きているため、事前の評価を義務付ける。規模が大きく環境に大きな影響を及ぼす恐れのある「第1種事業」は発電規模36MW以上、個別に判断する「第2種事業」は32MW以上とする方針。

 

 また、これらの規模以下の事業については、地方公共団体による環境アセス条例の対象とすることを認める。さらに、環境アセス条例の対象にも当てはまらない小規模事業でも、必要に応じてガイドライン等による自主的に点検する取り組みを促していく考え。

 

 現行の環境影響評価法では、アセスの対象となる事業を、道路、ダム、鉄道、空港、発電所などの13種類の事業としている。これに大規模な太陽光発電事業が加わることになる。再生可能エネルギーでは、すでに風力発電事業と地熱発電事業(それぞれの出力は第1種10MW、第2種7.5MW~10MW)が対象となっている。

 

 同法では、土地区画整理事業などの面整備事業における第一種事業の規模要件について、土地改変面積100ha以上を基本としている。太陽光発電についても、この面積に当てはめてパネル敷設の出力をはじいた。第二種については、第一種事業の規模要件に0.75を乗じた値を示した。

 

 同省が実施したメガソーラーの利用に関する自治体・事業者アンケート結果では、太陽光発電に関連する苦情や要望書等のうち、事業実施前の土地利用が林地の場合が最も多かった(142事業、50%)。採石場跡地、最終処分場、工業専用地域に設置する場合は、ほとんど苦情等は寄せられていない。

 

 アセス義務化が導入されると、こうした地域特性の違いが、これまで以上に、今後のメガソーラー立地の際の重要な判断要因になりそうだ。

 

 一方、7月3日に閣議決定されたエネルギー基本計画では、「風力発電設備の導入をより短期間で円滑に実現できるよう環境アセスメントの迅速化や、規模要件の見直し」等に言及しており、今後、風力発電事業についても規模要件の見直し等に着手する見通しだ。

 

 我が国の再エネ発電については、固定価格買取制度(FIT)の見直しにより、太陽光発電なども新規計画が減少している。今回、アセス法の適用対象となる見込みとなったことで、事業者にとって一段と事業環境が限定的になってきたといえる。立地トラブル等を最小化する必要性と、再エネを促進する政策のバランスが改めて問われそうだ。

http://www.env.go.jp/policy/assess/5-14solarpower/solar_h30_4.html#shidai