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世界貿易機関(WTO)上級審、福島事故による日本からの水産物禁輸措置を続ける韓国を支持。国際的には原発汚染への懸念が消えていないことを認める(各紙)

2019-04-13 01:18:02

fukushima12キャプチャ

 

 各紙の報道によると、世界貿易機関(WTO)の紛争処理の「二審」に当たる上級委員会は11日(日本時間12日未明)、韓国が東京電力福島原発事故による影響を懸念して、福島や茨城など8県産の水産物輸入禁止措置を不当とした「一審」の紛争処理小委員会(パネル)の判断を破棄した。韓国の主張を認め、日本は逆転敗訴した。国際的には原発汚染への懸念が消えていないことを立証する形となった。

 

 WTOの判断は、東電事故によって広範囲に拡散した放射性物質の影響を懸念する韓国の訴えに沿った内容。上級委の判断は最終のものとなる。上級審は今回の判断で、一審のパネルの判断には、WTOの検疫関連協定の解釈に誤りがあると指摘。韓国の措置について「必要以上に貿易制限的」としたり、日本を不公正に差別したりしたものとはいえないとして、一審を覆した。

 

   ただ、日本の食品の安全性については否定していない。このため、WTOの指摘を受けた吉川貴盛農林水産相は12日の閣議後の記者会見で「食品の安全性は否定されていない」と強調、引き続き韓国など輸入を規制している国に撤廃を求める考えを示した。

 

 上級審は、韓国政府が消費者保護のためにどのような措置を取れば適切かは判断できないとし、食品で許容できる放射線レベルなど安全性の問題でも見解を示さないとした。

 

 WTOのこうした判断は、放射性物質による食品汚染の科学的な線引きの判断には深入りせずに、韓国政府の判断を支持することで、結果的に日本の「安全性の強調」が国内でしか通用しないことを認めた形でもある。

 

 一審のパネルは昨年2月、輸入禁止は不当な差別と主張する日本の立場を支持する勝訴の判断を示し、韓国にブリやサンマなど計28魚種の禁輸解除を促した。だが韓国政府は「食の安全の重要性などを考慮した場合、パネルの判断には問題がある」として上訴していた。

 

 韓国の禁輸は、原発事故後の2013年に、福島県だけでなく、同県周辺の放射性物質が拡散したとみられる青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の8県で水揚げ・加工された全水産物の輸入を禁止する内容だ。

 

 農林水産省によると、原発事故後、一時は54カ国・地域が日本産食品の輸入を規制した。その後、撤廃が進んではいるが、現在も韓国だけでなく、23カ国・地域で規制が続いている。日本政府は、規制を大幅に強化した韓国を提訴したが、他の国は訴えていない。

 

 政府は、韓国をWTOに提訴し、上級委の報告でも勝訴を得て、他の国・地域の規制撤廃への働きかけを加速する戦略を描いていたとされる。だが、韓国側の強硬姿勢、WTOの判断の両方とも、戦略的に見誤ったことになる。外交力の失敗といえる。

 

 菅義偉官房長官は12日午前の記者会見で、日本産食品は科学的に安全との一審の事実認定が維持されたなどとして「敗訴したとの指摘は当たらない」との見解を示した。

 

福島民報より
福島民友より転載 

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190130-346611.php

 

 福島県沖で続いている試験操業では、2018年には、相馬双葉、いわき市、小名浜機船底曳網の3漁協合計の水揚げ数量は4004㌧を記録している。事故前に比べると15.5%と低いが、前年より22%増で、着実に毎年、増えている。

 

 水揚げされた魚介類の出荷制限の解除も進んでおり、これまでに2016年に「常磐もの」として名高いヒラメ、18年にはスズキが試験操業の対象魚種に加わり、主に国内市場に出荷されている。

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019041290135425.html

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190412&ng=DGKKZO43659910S9A410C1MM0000