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米ワシントン州、2045年までに州内電力を再エネ100%化する法律制定。全米で5番目の「クリーン電力州」に(RIEF)

2019-05-15 15:07:56

Inslee1キャプチャ

 米ワシントン州のジェイ・インスレー(Jay Inslee)知事は、2045年までに同州の電力を100%再生可能エネルギー等のクリーンエネルギーとする州法に署名した「。再エネ100%」を法制化したのは、カリフォルニア、ハワイなどに続いて5番目の州になる。

 トランプ政権はエネルギー政策では石炭復権を掲げ、シェールガス・油開発を推進するなど、化石燃料エネルギー促進を鮮明にしている。こうした連邦政府のエネルギー政策とは対照的に、100%再エネ化を宣言する州は、カリフォルニア、ハワイ、ニューメキシコ、プエルトリコ、それにワシントン州と5州になった。これ以外にも現在、6州が同様の法制化を検討しているという。

 ワシントン州のインスレー知事は「今回の法制化は、もっとも大事なわれわれの国土であり、空気であり、水であり、子どもたちの健康を守るために闘うチャンスを得るということだ。われわれはまだ対応できていない。しかし法律を策定することで、備えはできた。後は実行するのみだ」と強調した。

州内の太陽光発電所の竣工式に出席したインスレー知事(㊨から2人目)
州内の太陽光発電所の竣工式に出席したインスレー知事(㊨から2人目)

 再エネ100%を実現するため、州内の石炭火力発電所は2025年までに操業を停止することになる。また電気料金の上昇対策として、低所得者に対する経済支援プログラムも導入する。州内のすべてのコミュニティに電気自動車用の電気チャージステーションを設置するほか、石炭火力廃止に伴って、組合労働者や女性、少数者、旧軍属などの雇用を進める再エネ事業者には税制上のメリットを付与する。

 ワシントン州の、再エネ目標設定と、それに伴う各種対策の組み合わせについては、環境NGOも歓迎している。シェラクラブ副代表のKass Rohrbach氏は「今回の政策の組み合わせは、州法で再エネ100%を確保するうえでの新たな基準になる可能性がある」と評価している。

 同州の再エネ100%化は、昨年秋に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が特別報告で打ち出した「1.5℃目標」への整合性を目指している。IPCCの報告では、気候変動激化の影響を抑制するためには世界の気温上昇を1.5℃に抑える必要があると同時に、今世紀半ばまでにCO2の排出量をネットでゼロにする必要があるとしている。

 同氏は民主党の大統領選挙候補の一人でもある。同氏は、今回の州レベルでの再エネ電力100%化の目標を連邦レベルに拡大することを提案している。2035年までに再エネ電力100%化し、すべての新車の販売についてもゼロ排出量車に限定するという内容だ。来年の大統領選挙へ名乗りをあげている民主党候補は現在、20人を超すが、その多くが環境対策でIPCC特別報告書を支持し、2050年までにネットゼロを達成する公約案を掲げている。

https://www.governor.wa.gov/