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フランス、国の肝入りで推進した「ソーラーパネル幹線道路」、目論見通りの発電量を確保できず。「失敗」(地元当局)。高効率の次世代パネルに切り替え再挑戦(RIEF)

2019-07-28 06:53:36

solarroadキャプチャ

 

  フランスが国の肝入りで推進してきた幹線道路での太陽光発電実験が「失敗」していたことがわかった。2016年12月、ノルマンディー地方オルヌ(Orne)県のトゥルーブル(Tourouvre)で、幹線道路1kmに太陽光パネルを敷き詰め、発電した電力を電力公社のEDFに売却する目論見だった。

 

 しかし、地元のオルヌ県によると、「発電という観点では、実験は経済的にも財政的にも失敗だった」。当初計画では、今年3月までの発電量は、642MWhの見込みだったが、実際はそのほぼ3分の1の229MWhにしかならなかった。

 

 また発電した電力の売電収入も、当初見込みの約2万2000ユーロ(約270万円)にほど遠い8000ユーロ(約97万円)にとどまった。

 

2016年の開通式には当時の環境大臣も出席し、華々しく打ち上げた
2016年12月の開通式には当時のロワイヤル・エコロジー大臣も出席し、華々しく打ち上げた

 

  ソーラーパネル道路の建設にはフランス政府が500万ユーロ(約6億円)を同県に融資、実験開始当時のセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)エコロジー・持続可能開発・エネルギー相は、4年計画で全国に導入すると宣言していた。

 

 目論見が大きく外れた最大の要因は、「ソーラーパネルの音」。パネル上を自動車が走行することで発生する騒音の意外な大きさで近隣住民から苦情が相次いだ。このため地元当局はパネル敷設区間での走行速度を時速70kmに制限、その分、パネルが自動車で覆われる時間が増え、発電量が減ったとみられる。

 

 また自動車走行によるパネル劣化の早さも想定を上回った。同県では、今後、現在敷設しているパネルをすべて撤去し、発電効率の高い次世代パネルに切り替えて、長さも400mに縮小した区間での再実験に挑戦するとしている。

 

 実験プロジェクトは「失敗」したが、同県の担当者は、人口1500人のトゥルーブルの街に、韓国や中国等から観光客や企業等の視察も増え、「失敗とは言っても、全く無駄だったわけではない」と述べている。強がりに聞こえるが。

 

https://techxplore.com/news/2019-07-france-solar-road.html