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世界最大の資産運用会社BlackRock、投資先のグローバル企業53社の気候対応の不足を理由に株主行動対象に指定。エクソン・モービルやダイムラー等の株主総会で反対票投じる(RIEF)

2020-07-15 13:35:01

ckRock001Blaキャプチャ

 

 米資産運用最大手のBlackrockは投資対象先のグローバル企業53社の気候変動対策が不十分として、株主総会で会社側議案に反対したり、直接対話を求めるなどの行動をとっていることを明らかにした。対象企業には米エクソン・モービルや独ダイムラー等も含まれる。BlackRockは今年1月、「Climate Action 100+」活動に参加するとともに、TCFD提言に沿った気候リスクの開示を企業に求めることを宣言していた。https://rief-jp.org/ct6/98094

 

 BlackRockは1月の公約以降、投資対象企業の気候対応を評価・選別した結果、244社が「要注意(on watch)」対象となり、そのうち、特に問題のある53社を「直接行動対象」としてターゲット化した。エクソン等のほか、同じ米エネルギー大手のシェブロン、石炭のピーボディ・エネルギー、スウェーデンの自動車メーカーのボルボ、フィンランドの電力フォータムなどが含まれる。

 

 BlackRockではこれらの53社の株主総会で、気候変動政策を転換しないとの理由で、取締役選任案に反対票を投じるなどの直接行動を実施した。残りの199社については企業名は明かしていない。だが、気候変動対策で進展がないようならば、2021年の株主総会で投票行動をとる、としている。

 

BlackRockのCEO Larry Fink氏
BlackRockのCEO Larry Fink氏

 

 BlackRockは「気候課題に対するわれわれのアプローチは、気候リスクをわれわれの顧客の投資資金に最大の影響を及ぼすリスクとしてとらえ、その影響が最も大きいセクターや企業に対応する努力を促す点にある」と述べている。対象となる企業の経営に株主投票や対話等の形で直接働きかけることで、転換を促すものだ。

 

 CEOノラリー・フィンク氏は今年1月、投資家向けの年次レターの中で、「気候危機に対してさらなる行動をとる」と言明した。その言明を具体化した対応が、Climate Action 100+への参加であり、今回の投資対象企業への直接行動の形で表れている。

 

 BlackRockが投資先企業に対する気候対応エンゲージメントを強化する姿勢を明確にしたのは、それまでBlackRock自体が環境NGOなどから「気候変動対応に消極的」として批判を浴びてきた経緯もある。米環境NGOのCeresによると、1年前の2019年3月時点で、主要企業の気候関連株主提案に対する主な投資ファンドの賛否の対応で、BlackRockは48機関中、43位と低評価されていた。

 

  ただ、今年の株主総会でもBlackRockは、 オーストラリアのエネルギー企業のサントス(Santos)やウッドサイド・エネルギー(Woodside Energy)に対して株主がパリ協定に沿った目標設定を求める決議には賛成に回らず、JPモルガンの株主総会でも同様だった。BlackRockはこれまで株主総会での対応は、外部の金融機関にアウトソースする形で対応してきた。

 

https://www.ft.com/content/8809032d-47a1-47c3-ae88-ef3c182134c0